
スタジオジブリの名作『かぐや姫の物語』を観た方の中には、山での生活シーンで登場する可愛らしい動物たちが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
特に「ウリ坊」という存在について、どんな動物なのか、なぜ登場するのか気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事では、かぐや姫の物語に登場するウリ坊の正体から、高畑勲監督がこの作品に込めた自然描写の意図まで、詳しく解説していきます。
ウリ坊が物語の中でどのような役割を果たしているのか、また作品全体のテーマとどう結びついているのかを知ることで、この映画の魅力がさらに深まりますよ。
ウリ坊はイノシシの赤ちゃんのこと

ウリ坊とは、イノシシの子どものことです。
『かぐや姫の物語』では、姫が山で暮らしていた幼少期のシーンに、蛙や鶯、渡り鳥などの様々な生き物とともにウリ坊が登場します。
高畑勲監督は、赤ん坊時代の姫が自然の中で喜ぶ描写を丁寧に描いており、ウリ坊はその自然豊かな山の生活を象徴する存在の一つとして描かれています。
イノシシの子どもは、その体の模様が瓜の縞模様に似ていることから「ウリ坊」と呼ばれており、日本では古くから親しまれてきた呼び名なんですね。
なぜウリ坊が登場するのか?高畑監督の自然描写の意図

生命力あふれる山の暮らしの象徴
『かぐや姫の物語』は2013年11月23日に公開され、製作期間8年、総製作費50億円を投じた大作です。
高畑勲監督が最もこだわったのが、自然描写の細やかさと生命感でした。
ウリ坊をはじめ、蛙、鶯、渡り鳥、蜘蛛、イノシシの親、ハハコグサ、ツユクサ、オニタビラコ、コブシの花など、多様な生き物が登場します。
これらの生き物たちは、単なる背景ではなく、姫が心から愛した山の生活そのものを表現しているんですね。
かぐや姫の「罪」と自然への憧れ
高畑監督がこの作品で描こうとしたテーマは「罪を犯したかぐや姫の罰」でした。
原作の「竹取物語」を下敷きにしながらも、姫の「罪」とは何だったのかという問いに、独自の解釈を加えています。
それは、月の世界にいた姫が地上の生の世界に憧れを抱いたことです。
ウリ坊やその他の動植物は、姫が憧れた「生きている世界」の象徴であり、その愛おしさと儚さを同時に表現する存在なのです。
都での生活との対比
物語の中で、姫は山から都へと移り住みます。
翁が不思議な竹から得た金や着物で富を得て、姫を都の高貴な姫として育てることを決意したからです。
都での生活では、5人の公達から求婚されたり、帝(御門)からも求愛されたりしますが、姫の心は満たされません。
むしろ、山で過ごしたウリ坊たちとの日々への郷愁が、姫の心を支配していくのです。
石上中納言は宝物入手中の事故死を招き、姫は自責の念に駆られて屋敷を飛び出し、故郷の山へ逃げます。
そこで炭焼きの捨丸から春の訪れを学び、自然への憧れをさらに深めるシーンは、作品の中でも特に印象的ですね。
わらべ唄と生への執着
クライマックスでは、わらべ唄が地上への憧れを呼び起こし、姫は涙を流します。
月の天人により羽衣を着せられた後は正気を取り戻し、翁・媼に別れを告げて月へ帰っていくのですが、この場面でもウリ坊たちと過ごした山の記憶が姫の心の奥底にあることが感じられます。
姫の「罪」は生の世界への憧れと解釈されており、ウリ坊はその憧れの対象となった自然そのものなのです。
具体的なウリ坊の登場シーンと視聴者の反応
山での子ども時代のシーン
ウリ坊が最も印象的に登場するのは、姫が「タケノコ」と呼ばれていた幼少期です。
急速に成長する姫が、山で子どもたちと遊ぶシーンでは、ウリ坊をはじめとする様々な動物たちが自然に登場します。
赤ん坊時代の姫が喜ぶ描写として、ウリ坊の可愛らしい仕草や動きが丁寧に描かれており、視聴者にも強烈な印象を残す場面となっています。
姫が自然の中で無邪気に笑い、生き物たちと触れ合う様子は、都での窮屈な生活との対比として非常に効果的に機能していますね。
SNSやファンの声
2026年1月9日には、金曜ロードシネマクラブ(日本テレビ)での放送が予定されており、10周年を超えても根強い人気を誇っています。
SNSでは、ウリ坊をはじめとする自然描写について、多くの視聴者が感想を述べています。
「ウリ坊が可愛すぎて何度も巻き戻して観た」という声や、「あのシーンの自然描写が美しくて涙が出た」という感想が見られます。
また、「かぐや姫が山に戻りたがる理由がウリ坊たちとの生活を見ればよく分かる」という、作品のテーマを深く理解した意見も多く見受けられますね。
自然観察の視点からの分析
公式グッズとしてDVDが発売されており、自然観察をテーマにした分析記事も継続的に公開されています。
専門家からは、高畑監督の自然に対する深い知識と愛情が作品に反映されているとの評価が寄せられています。
ウリ坊だけでなく、蛙、鶯、イノシシの親など、それぞれの生き物が生態的にも正確に描かれており、ただの背景ではなく物語の重要な構成要素として機能しているという分析もあります。
ハハコグサ、ツユクサ、オニタビラコ、コブシの花といった植物も、季節や場面に応じて適切に配置されており、自然への深い理解が感じられるという指摘もありますね。
高畑勲監督のこだわり
製作期間8年という長い時間をかけたこの作品では、高畑監督自身が自然描写に並々ならぬこだわりを持っていたとされています。
脚本協力の坂口理子氏とともに、原作との違いを明確にしながら、姫の心理描写と「罪」の解釈を強調する方向性を打ち出しました。
ウリ坊という存在も、単に可愛い動物を登場させるためではなく、姫の心の奥底にある生への執着を視覚化するために選ばれたと考えられます。
プロデューサーの西村義明氏、企画の鈴木敏夫氏、音楽の久石譲氏、主題歌の二階堂和美氏といった錚々たるメンバーが集結し、総製作費50億円という規模で作り上げられた作品だからこそ、細部までこだわり抜かれているんですね。
まとめ:ウリ坊はかぐや姫の憧れた生命そのもの
『かぐや姫の物語』に登場するウリ坊は、イノシシの子どものことです。
しかし、この作品の中でウリ坊は単なる動物ではなく、姫が心から愛した山の生活、そして地上の生命への憧れを象徴する存在として描かれています。
高畑勲監督が8年の歳月をかけて描いた自然描写の中で、ウリ坊は蛙や鶯、様々な植物とともに、姫が月に帰らなければならない「罰」の理由を視覚的に表現しているのです。
都での窮屈な生活との対比として、山でウリ坊たちと過ごした日々の輝きがより一層際立ち、観る者の心に深く刻まれますね。
2013年11月23日の公開から10年以上経った今でも、多くの人々がこの作品の自然描写に心を動かされているのは、ウリ坊をはじめとする生き物たちが、私たち自身の生への執着や自然への憧れを代弁しているからかもしれません。
もう一度、ウリ坊に注目して観てみませんか?
この記事を読んで、ウリ坊の意味や役割がお分かりいただけたのではないでしょうか。
もし『かぐや姫の物語』をまだ観ていない方は、ぜひウリ坊の登場シーンに注目しながら鑑賞してみてください。
すでに観たことがある方も、ウリ坊をはじめとする自然描写の意味を知った上でもう一度観ると、また違った感動が得られるはずです。
2026年1月9日には金曜ロードシネマクラブでの放送も予定されていますし、DVDも発売中ですので、この機会にぜひ高畑勲監督が込めた思いを感じ取ってみてくださいね。
ウリ坊たちと過ごした山の日々が、きっとあなたの心にも温かく残るはずですよ。