かぐや姫の物語の月の使者って何?

かぐや姫の物語の月の使者って何?

日本最古の物語『竹取物語』のクライマックスに登場する「月の使者」について、気になっている方は多いのではないでしょうか。

帝の兵士たちでさえ太刀打ちできない圧倒的な力を持つ存在として描かれる月の使者は、物語の中でも特に印象的なシーンに登場します。

この記事では、月の使者とは何者なのか、なぜ地上に現れたのか、そしてどのような役割を果たしているのかを、古典文学の解釈から現代的な考察まで幅広くご紹介します。

月の使者の正体を知ることで、かぐや姫の物語がより深く理解できるようになりますよ。

月の使者の正体と役割

月の使者の正体と役割

月の使者は、かぐや姫を月の都へ迎えに来る天人たちです。

物語のクライマックスである旧暦8月15日の満月の夜、約2000人の天人が雲に乗って地上に降り立ち、かぐや姫を月の都へと連れ戻します。

月の使者たちは神秘的な力を持ち、帝が差し向けた2000人の兵士たちを一瞬にして眠らせてしまうほどの圧倒的な力を誇ります。

彼らの目的は、罪を償い終えたかぐや姫を、清らかな月の都へ帰還させることです。

月の使者は単なる迎えの使いではなく、地上の穢れからかぐや姫を解放し、地上での記憶を消して月の世界へと導く役割を担っています。

なぜ月の使者が地上に現れるのか

なぜ月の使者が地上に現れるのか

かぐや姫の出自と流刑の背景

月の使者がかぐや姫を迎えに来る理由を理解するには、まずかぐや姫の出自を知る必要があります。

かぐや姫は本来、月の都の姫であり、何らかの罪を犯したために地上へ流刑された存在なのです。

物語では「昔の契り」や罪により、竹の中に隠れて地上に降り立ったとされています。

竹取の翁に発見され、育てられる中で異常な速さで成長し、美しい女性へと成長しました。

この地上での生活は、言わば月の世界における刑期を務める期間だったのです。

月の都と地上の対比

平安時代の人々にとって、月は清浄で穢れのない理想郷として認識されていました。

一方、地上は穢れに満ちた世界であり、病や死、苦しみに溢れた場所とされていたのです。

月の使者が「清らかな月の都へ戻りましょう」とかぐや姫に呼びかけるのは、この世界観を反映しています。

月の使者の登場は、かぐや姫が刑期を終え、本来いるべき清浄な世界へ戻る時が来たことを意味していました。

満月の夜に現れる理由

月の使者が旧暦8月15日の満月の夜に現れる設定には、深い意味があります。

満月は月のパワーが最も強まる時であり、月の世界と地上の世界を繋ぐ門が開く特別な日とされていました。

また、この日は中秋の名月として知られ、古来より月を愛でる風習がありました。

最も美しい月の夜に、月からの使者が現れるという設定は、物語の神秘性と美しさを一層際立たせる効果を生んでいます。

月の使者の圧倒的な力の描写

帝の兵士を無力化する神秘的な力

物語の中で、帝はかぐや姫を守るために2000人もの兵士を派遣します。

しかし、月の使者たちが現れると、兵士たちは戦う気力を失い、眠らされてしまいます

この描写は、地上の権力や武力が月の世界の力の前では全く無意味であることを示しています。

帝という地上で最高の権力者でさえ、月の使者の前では無力だったのです。

この圧倒的な力の差は、月の世界が地上よりも高次元の存在であることを象徴しています。

雲に乗って現れる天人たち

月の使者たちは雲に乗って地上に降り立つ姿で描かれています。

この雲の描写は、天界からの使者であることを視覚的に表現する効果的な演出です。

約2000人もの天人が雲に乗って現れる光景は、まさに圧巻の場面として多くの日本美術作品に描かれてきました。

絵巻物や屏風絵などでは、この場面が特に人気が高く、日本美術史においても重要なモチーフとなっています。

記憶を消す力

月の使者が持つもう一つの重要な力が、地上での記憶を消す能力です。

かぐや姫が月に帰る際、月の使者は彼女に「天の羽衣」を着せようとします。

この羽衣を着ると、地上での記憶がすべて消えてしまうのです。

かぐや姫は別れを惜しむ翁や帝への手紙を書き、不死の薬を残しますが、これらは羽衣を着る前に行われました。

記憶を消すという行為は、地上の穢れを完全に払い清めるという意味を持っていると考えられます。

現代的な解釈と多様な考察

心理学的解釈:内面の守護者としての月の使者

現代の心理学的な視点から、月の使者を解釈する試みもあります。

この解釈では、月の使者はかぐや姫の内面に存在する「ダイモン」、つまり超越的な存在として捉えられています。

地上での生活において、求婚者たちからの執拗な求愛や、自分の意志に反した結婚への圧力など、かぐや姫は多くの苦しみを経験します。

月の使者は、そうした現実の苦しみから彼女を守る守護者であると同時に、自我を切り離す迫害者でもあるという二面性を持つという解釈です。

解離反応による幻想世界への導き手として、月の使者を位置づけるこの見方は、物語に新たな深みを与えています。

神話的つながり:中国神話との関連

かぐや姫の物語は、中国神話の嫦娥(じょうが)伝説との関連性が指摘されています。

嫦娥は不老不死の薬を盗んで飲み、月へと逃げた女性の神話です。

かぐや姫が月世界のタブーを犯して流刑されたという解釈は、この中国神話との類似性から生まれたものです。

両者とも月に住む女性であり、地上との関わりを持つ点で共通しています。

月の使者は、この神話的文脈において、秩序を回復させるための執行者としての役割を担っているとも考えられます。

SF的解釈:宇宙人説と月の空洞説

現代のSF的な視点からは、月の使者を宇宙人として解釈する説もあります。

雲に乗って現れる描写を宇宙船に見立て、月の使者を異星人とする仮説です。

NASAのアポロ計画による月探査で、月の内部に空洞があるという説が提唱されたことから、月が人工物である可能性を結びつける考察も生まれました。

この解釈では、月の使者は高度な技術文明を持つ異星人であり、かぐや姫も地球外生命体だったということになります。

もちろん、これは現代的な想像力による解釈であり、原作が意図したものではありませんが、物語の普遍性を示す一例と言えるでしょう。

SNSや現代における月の使者への反応

圧倒的な力への畏怖

SNSでは、月の使者の圧倒的な力に対する驚きの声が多く見られます。

「帝の兵士2000人が一瞬で無力化されるって、どれだけ強いの」という感想や、「月の使者の前では人間の力なんて無意味だったんだな」といった意見が投稿されています。

特に、権力者である帝でさえ太刀打ちできない存在という設定に、物語の深さを感じる人が多いようです。

「現代風に言えば、完全なるパワーバランスの崩壊」という表現で、その圧倒的な力の差を表現する声もあります。

かぐや姫を連れ去る存在への複雑な感情

ファンの間では、月の使者に対する複雑な感情も語られています。

「月の使者は正義なのか、それとも悪なのか」という問いは、多くの人が抱く疑問です。

かぐや姫を愛する翁や帝にとっては、彼女を奪う存在として描かれる一方、かぐや姫自身にとっては本来いるべき場所へ帰る手段でもあります。

「月の使者は救済者であり、同時に別れをもたらす存在」という二面性について、SNSでは活発な議論が交わされています。

「地上での記憶を消すって、残酷だけど優しさなのかも」という意見も見られ、月の使者の行為に対する多様な解釈が存在することが分かります。

ジブリ映画『かぐや姫の物語』での描写への反応

高畑勲監督による『かぐや姫の物語』では、月の使者の場面が非常に印象的に描かれました。

「あの月の使者のシーンは本当に美しくて恐ろしかった」という感想が多く、視覚的なインパクトの強さが語られています。

映画では、月の使者たちが奏でる音楽によって、地上の人々が抗う力を失っていく様子が描かれました。

「あの音楽を聴くと、何もかも忘れてしまいそうで怖い」という声や、「美しさと恐怖が同居している表現が素晴らしい」という評価が見られます。

また、「かぐや姫が泣きながら地上を振り返るシーンで、月の使者の無慈悲さを感じた」という意見もあり、映像化によって月の使者の存在感がより強調されたことが分かります。

まとめ

月の使者は、かぐや姫を月の都へ迎えに来る天人たちであり、圧倒的な神秘的な力を持つ存在です。

旧暦8月15日の満月の夜に約2000人の天人が雲に乗って現れ、帝の兵士たちを無力化し、かぐや姫を月へと連れ戻します。

月の使者が地上に現れる理由は、罪を償い終えたかぐや姫を、清浄な月の都へ帰還させるためです。

平安時代の世界観では、月は穢れのない理想郷であり、地上は苦しみに満ちた世界とされていました。

現代では、心理学的解釈や神話的つながり、さらにはSF的な宇宙人説など、多様な視点から月の使者が考察されています。

月の使者は単なる迎えの使いではなく、救済者であり、別れをもたらす存在であり、かぐや姫の内面を象徴する存在でもあるという多面性を持っています。

この曖昧さこそが、千年以上にわたって人々を魅了し続ける『竹取物語』の魅力なのです。

物語の深みを味わってみませんか

月の使者について知ることで、かぐや姫の物語がより深く、より豊かに感じられるようになったのではないでしょうか。

古典文学は難しいと感じるかもしれませんが、月の使者のように神秘的で魅力的な存在が登場する『竹取物語』は、現代を生きる私たちにも多くのメッセージを届けてくれます。

ぜひ原作を読んだり、ジブリ映画『かぐや姫の物語』を鑑賞したりして、あなた自身の目で月の使者の姿を確かめてみてください。

そして、月の使者がかぐや姫にとって何を意味していたのか、自分なりの解釈を見つけてみてくださいね。

物語の奥深さに触れることで、新たな発見や感動が待っているはずです。

キーワード: かぐや姫の物語,月の使者