
スタジオジブリの名作「となりのトトロ」を観た多くの方が気になるのが、サツキとメイのお母さんが入院している理由ですよね。
劇中では具体的な病名が明かされず、「風邪のようなもの」とだけ説明されるお母さんの病気。
なぜ長期間入院しているのか、どんな病気なのか、そして最後には元気になるのか――。
この記事では、時代背景や宮崎駿監督の実体験、そして劇中の描写から、お母さんの病気について詳しく解説していきます。
となりのトトロのお母さんの病気は結核

結論から言うと、お母さん(草壁靖子)の病気は「結核」であると広く考察されています。
劇中では明確に病名は語られませんが、物語の時代設定である昭和30年代初頭という背景、入院している七国山病院のモデルとなった実在の病院、そして宮崎駿監督自身の母親の闘病体験から、結核であることがほぼ確実視されているんですね。
お母さんの年齢は32歳で、約1年にわたる長期入院をしていましたが、物語の終盤では回復傾向を見せ、秋頃には退院したとされています。
当時の結核は「国民病」と呼ばれるほど蔓延していた病気でしたが、治療薬の開発により治る病気になりつつあった時代でもありました。
お母さんの病気が結核である根拠
時代背景から見る結核の位置づけ
「となりのトトロ」の舞台となっている昭和30年代初頭の日本では、結核は「国民病」として広く蔓延していました。
昭和20年代までは結核が死因第1位の不治の病とされ、多くの人々の命を奪っていたんですね。
しかし、昭和30年代に入ると、ストレプトマイシンなどの抗生物質による治療法が確立され、結核は治療可能な病気へと変わりつつありました。
この時代的な転換期が、劇中のお母さんの状況と完全に一致しているんです。
七国山病院のモデルが結核療養施設
お母さんが入院している七国山病院のモデルは、東京都東村山市にある新山手病院です。
この病院は結核予防会が運営しており、当時は結核患者を長期間受け入れる療養施設として機能していました。
現在も結核対策施設として実在している病院で、宮崎駿監督がこの病院をモデルにした理由も、結核という病気を念頭に置いていたからだと考えられます。
劇中に登場する緑豊かな丘の上にある病院という描写も、実際の新山手病院の環境と重なるんですね。
宮崎駿監督の母親の闘病体験
最も重要な根拠が、宮崎駿監督自身の母親が脊椎カリエス(脊椎の結核感染)を患っていたという事実です。
監督の母親は約10年間寝たきりの生活を送っていましたが、ストレプトマイシンなどの治療薬によって回復しました。
この実体験が「となりのトトロ」の物語に色濃く反映されているんですね。
サツキとメイがお母さんの帰りを待ちながら健気に生活する姿は、まさに監督自身の子供時代の記憶が投影されていると言えるでしょう。
劇中の描写から読み取れる病気の特徴
劇中では、お母さんの病気について以下のような描写があります。
- 胸の病であること
- 長期入院が必要であること
- 面会が可能であること
- 同室に他の患者がいること
- 物語の終盤では本を読めるほど回復していること
- 深刻すぎる雰囲気ではないこと
これらの特徴は、昭和30年代初頭の結核患者の状況と完全に一致しているんです。
もし伝染性の高い感染症であれば隔離病棟に入れられるはずですし、もっと深刻な病気であれば面会も制限されたでしょう。
治療可能になりつつある結核という設定だからこそ、このような描写が成り立つわけですね。
サツキへの説明が「風邪」だった理由
お父さんがサツキに「風邪のようなもの」と説明した理由も、結核であることを裏付けています。
当時、結核は非常に深刻な病気として社会的なスティグマ(偏見)がありました。
まだ小学生のサツキと幼いメイに心配をかけないよう、お父さんがあえて軽い表現で伝えたと考えられるんですね。
実際、昭和30年代でも結核患者の家族は差別を受けることがあり、子供たちを守るために病名を伏せることは珍しくありませんでした。
ジブリ作品に描かれる結核というテーマ
「風立ちぬ」でも描かれた結核
宮崎駿監督が手がけた別の作品「風立ちぬ」でも、ヒロインの菜穂子が結核を患っているという設定が登場します。
こちらの作品では病名が明示されており、大正から昭和初期の時代における結核の恐ろしさがリアルに描かれているんですね。
監督にとって結核という病気は、母親の闘病という個人的な体験と、時代を象徴する社会問題という二つの意味を持っています。
「となりのトトロ」と「風立ちぬ」という二つの作品を通じて、時代の変遷と結核治療の進歩が描かれていると言えるでしょう。
子供向けだからこそ明示しなかった配慮
「となりのトトロ」が子供向け作品であることも、病名を明示しなかった理由の一つです。
重い病気の話を前面に出すのではなく、子供たちの成長と冒険、そして家族の絆を中心に据えることで、幅広い年齢層が楽しめる作品になっているんですね。
病名を明かさないことで、観る人それぞれが自分の経験や解釈を重ねることができる余白が生まれています。
視聴者やファンの反応と考察
ファンの間で語り継がれる考察
「となりのトトロ」のお母さんの病気については、公開から30年以上経った今でもファンの間で活発に議論されています。
多くのファンサイトや考察ブログでは、「結核説」が最も有力な説として紹介されているんですね。
SNSでは「大人になってから観ると、お母さんの病気の重さがわかって泣ける」という声も多く見られます。
子供の頃は何気なく観ていたシーンが、大人になって時代背景を理解すると全く違った意味を持つことに気づく人が多いんです。
七国山病院を訪れるファンたち
モデルとなった新山手病院を訪れる「聖地巡礼」をするファンも少なくありません。
病院周辺の風景は今でも緑豊かで、映画の世界観を感じることができると評判なんですね。
ただし、現在も稼働している医療施設ですので、訪問する際は患者さんやスタッフの迷惑にならないよう配慮が必要です。
医療関係者からの視点
医療関係者の中には、劇中の描写から結核以外の病気の可能性を指摘する声もあります。
しかし、時代背景、病院のモデル、監督の体験などを総合的に考えると、やはり結核が最も説得力のある解釈とされているんですね。
一部では「肋膜炎」や「肺炎」などの説もありますが、長期入院という点で結核説が主流となっています。
「その後」に関する考察
エンディングでは、お母さんが元気に退院して家族と一緒にいる姿が描かれています。
さらに、続編的な描写として、メイよりも幼い赤ちゃんと遊ぶシーンがあるという情報もあり、退院後に出産した可能性も考察されているんですね。
これは公式には確認されていない情報ですが、ファンの間では「お母さんが完全に回復した証拠」として語られることがあります。
劇中でお父さんが「退院したらワガママさせてあげる」と語るシーンがあり、家族全員が明るい未来を信じていることがわかります。
現代における結核という病気
今でも注意が必要な感染症
多くの人が「結核は過去の病気」と思っているかもしれませんが、実は日本最大級の感染症として今でも注意が必要です。
現代では予防と治療が大きく進歩していますが、完全に撲滅されたわけではありません。
毎年一定数の新規患者が報告されており、特に高齢者や免疫力の低下した人が発症するケースがあるんですね。
早期発見と適切な治療により、現代では結核は確実に治る病気になっています。
結核の予防と対策
現代の日本では、BCGワクチンの接種や定期健康診断によって結核の予防と早期発見に努めています。
「となりのトトロ」の時代と比べると、医療環境は格段に向上しているんですね。
- 乳幼児期のBCGワクチン接種
- 学校や職場での定期的な健康診断
- 早期発見のための胸部レントゲン検査
- 確立された抗結核薬による治療
これらの対策により、結核による死亡率は大幅に低下しました。
映画から学ぶ歴史的教訓
「となりのトトロ」を通じて、私たちは医療の進歩と社会の変化を学ぶことができます。
かつて不治の病とされた結核が治療可能になった背景には、多くの医療関係者の努力と医学の発展があったんですね。
サツキとメイが経験したような「親の長期入院」という状況が、現代ではほとんどなくなったことは、まさに医療の進歩の賜物と言えるでしょう。
まとめ:お母さんの病気に込められた意味
「となりのトトロ」に登場するお母さん(草壁靖子)の病気は、結核であると広く考察されています。
劇中では明確に病名は語られませんが、昭和30年代初頭という時代設定、七国山病院のモデルとなった結核療養施設、そして宮崎駿監督自身の母親の闘病体験から、ほぼ確実視されているんですね。
お母さんは約1年の入院を経て回復し、秋頃には家族のもとへ帰ってきました。
当時の結核は「国民病」として恐れられていましたが、ストレプトマイシンなどの治療薬の開発により治る病気へと変わりつつあった時代でした。
この設定には、監督の個人的な体験と、時代の転換期という社会的背景が込められています。
サツキとメイが健気にお母さんの帰りを待つ姿は、多くの家族が経験した困難と希望の物語なんです。
現代では結核は確実に治る病気となり、「となりのトトロ」の時代のような長期入院はほとんどありません。
それでも、この作品が今なお多くの人々に愛され続けているのは、家族の絆と子供たちの成長という普遍的なテーマが描かれているからでしょうね。
あなたも「となりのトトロ」をもう一度観てみませんか?
お母さんの病気の背景を知った上で「となりのトトロ」を観ると、新たな発見があるはずです。
サツキがお母さんを気遣って頑張る姿、メイが「お母さんに届けたい」とトウモロコシを抱えて迷子になるシーン、お父さんが子供たちを励まそうと明るく振る舞う様子――。
これらのシーンすべてが、より深い意味を持って心に響いてくるでしょう。
子供の頃に観た作品を大人になって見直すことで、当時は気づかなかった物語の深さに触れることができるんですね。
ぜひ、家族や大切な人と一緒に「となりのトトロ」を観て、それぞれの感想を語り合ってみてください。
きっと、映画を通じて大切なものが見えてくるはずですよ。