
『となりのトトロ』を観ていると、何度もどんぐりが登場するシーンに気づきますよね。
引っ越してきた古い家の天井から落ちてきたり、メイが庭で見つけたり、トトロが笹の葉に包んで渡してくれたり。
実はこのどんぐり、単なる小道具ではなく、トトロという存在を示す重要なモチーフなんです。
この記事では、となりのトトロとどんぐりの関係について、映画内の具体的なシーンから作品のルーツ、そして現代まで続く文化的影響まで、詳しくご紹介していきますね。
どんぐりを通して見えてくるトトロの世界を、一緒に深掘りしていきましょう。
となりのトトロのどんぐりは、トトロの存在を示す重要なアイテム

となりのトトロに登場するどんぐりは、トトロという不思議な生き物の存在を示す大切なサインです。
映画の中で、サツキとメイがトトロに出会う前から、どんぐりは何度も登場します。
古い家の天井から落ちてきたり、中トトロが袋に詰めて運んでいたり、大トトロがメイにプレゼントしてくれたり。
これらのどんぐりは、目に見えない森の主であるトトロが、確かにそこに存在している証なんですね。
また、トトロの原型となった宮沢賢治の『どんぐりと山猫』という作品にも、どんぐりが重要なモチーフとして登場しています。
なぜどんぐりがトトロの象徴になっているのか
宮沢賢治『どんぐりと山猫』がトトロの原型
となりのトトロの監督である宮崎駿さんは、宮沢賢治の『どんぐりと山猫』という童話からインスピレーションを受けたとされています。
『どんぐりと山猫』は、山猫が森のどんぐりたちの争いを裁くという不思議な物語です。
この作品に登場する「山猫」という森の主のような存在が、トトロのキャラクター造形に影響を与えているんですね。
つまり、どんぐりは宮沢賢治作品へのオマージュであり、トトロという森の守り神的存在を表現する最適なアイテムだったわけです。
どんぐりが持つ「森」「自然」「生命力」のイメージ
どんぐりは日本の里山に広く自生する樹木の実です。
秋になると地面に落ち、そこから新しい木が育つという生命のサイクルを象徴しています。
となりのトトロの舞台は、東京近郊の自然豊かな田舎町。
そこに暮らすトトロたちは、まさに森や自然そのものの化身として描かれています。
どんぐりというモチーフは、そんなトトロの本質を表現するのにぴったりのアイテムなんですね。
子どもたちとトトロをつなぐ「宝物」としてのどんぐり
小さな子どもにとって、どんぐりは特別な宝物ですよね。
公園や林で見つけたどんぐりをポケットいっぱいに詰め込んで持ち帰る、そんな経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。
メイがどんぐりを見つけて喜ぶシーンは、まさに子どもの純粋な好奇心と自然への親しみを表現しています。
トトロがメイにどんぐりを渡すシーンは、森の主が子どもに贈る特別なプレゼントという意味を持っているんです。
大人には見えないトトロからの贈り物を、子どもだけが受け取れる。
どんぐりは、子どもとトトロの世界をつなぐ架け橋の役割を果たしているんですね。
映画内でどんぐりが登場する具体的なシーン
引っ越し初日、古い家の天井や階段から落ちてくるどんぐり
サツキとメイが新しい家に引っ越してくる冒頭のシーン。
古い日本家屋を探検する二人の前に、天井や階段からコロコロとどんぐりが転がり落ちてきます。
このシーンは、まだ姿を見せないトトロの存在を暗示する最初のサインなんです。
観客は最初、ただのどんぐりだと思うかもしれません。
でも後からトトロの存在を知ると、「あのどんぐりはトトロが落としたものだったんだ」と気づくことができるんですね。
宮崎駿監督の巧みな伏線の一つと言えるでしょう。
メイが庭でどんぐりを発見、中トトロを追いかけるシーン
メイが一人で庭を探検しているとき、地面に落ちているどんぐりを見つけます。
そのどんぐりを拾い集めていると、突然、袋いっぱいにどんぐりを詰めた中トトロが現れます。
中トトロは慌てて逃げ出しますが、袋に開いた穴からどんぐりがポロポロとこぼれ落ちていくんです。
メイはそのどんぐりの道しるべをたどって、トトロたちの住む場所にたどり着きます。
このシーンでは、どんぐりが文字通り「トトロへの道」を示す役割を果たしているんですね。
ハンゼルとグレーテルのパンくずのように、どんぐりが冒険の導き手になっているわけです。
トトロがメイに渡す笹の葉包みの中身
メイがトトロのお腹の上で昼寝をした後、目を覚ますとトトロの姿は消えています。
その代わりに、笹の葉で丁寧に包まれた贈り物が残されていました。
その中身は、複数の木の実、主にどんぐり類です。
映画ではこのシーンがクローズアップで描かれ、どんぐりの質感や形がとても丁寧に表現されています。
専門家の考察によると、ツクバネガシ、ウラジロガシ、アカガシ、マテバシイなどの可能性があるとされています。
ただし、舞台となった狭山丘陵の植生を考えると、一部の種類については考証に疑問もあるようです。
それでも、トトロが森の恵みを子どもたちに分け与えるというこのシーンは、映画の中でも特に印象的なシーンの一つですよね。
どんぐりが芽吹くシーン
トトロからもらったどんぐりを、サツキとメイは大切に庭に植えます。
そして、ある夜中、不思議なことが起こります。
トトロたちが庭にやってきて、三匹で輪になって不思議な踊りを踊るんです。
するとどんぐりがみるみるうちに芽を出し、ぐんぐん成長して、あっという間に大きな木になります。
このシーンは、トトロが持つ自然の生命力を目覚めさせる力を象徴的に表現しています。
夢か現実か曖昧なこのシーンは、子どもの頃に見た不思議な体験の記憶を呼び起こすような、幻想的な美しさがありますよね。
となりのトトロとどんぐりに関するSNSや文化的影響
教育現場での「どんぐりトトロ工作」
となりのトトロの影響は、子どもたちの教育現場にも及んでいます。
全国の小学校や幼稚園では、秋になると「どんぐりトトロ工作」が行われることが多いんです。
子どもたちが実際にどんぐりを拾ってきて、それを使ってトトロの人形を作る活動ですね。
どんぐりの丸い形がトトロの体にぴったりで、フェルトや紙で耳やお腹の模様を付けると、かわいらしいトトロが完成します。
この活動は、自然に親しむ機会と創作活動を組み合わせた教育的価値の高い取り組みとして評価されています。
となりのトトロという作品が、単なるエンターテインメントを超えて、子どもたちの自然体験を促すきっかけになっているんですね。
「どんぐり共和国」とジブリグッズ展開
スタジオジブリの公式グッズショップは「どんぐり共和国」という名前です。
正式名称は「ドン・グーリ共和国」といい、全国の主要都市に店舗を展開しています。
このショップ名自体が、となりのトトロのどんぐりモチーフから取られているんですね。
店内では、トトロのぬいぐるみをはじめとするジブリ作品のグッズが販売されています。
特にトトロのぬいぐるみは大ヒット商品で、映画公開時の宣伝用として66.6万個が販売されました。
1991年2月時点では、サン・アロー製だけで大トトロ約100万個、中・小トトロ約60万個、その他約50万個の計210万個が販売されたという記録があります。
どんぐりというモチーフが、ブランド名にまで影響を与えているんですね。
SNSでの「トトロとどんぐり」の話題
SNSでは、秋になると「今日どんぐり拾ってきた!トトロみたい」といった投稿が増えます。
特に小さな子どもを持つ親御さんからの投稿が多く、「子どもがどんぐりを見つけて『トトロのだ!』と喜んでいた」という微笑ましいエピソードがたくさん見られます。
また、「となりのトトロを見てからどんぐりの見方が変わった」「どんぐりを見るとトトロを思い出す」という声も多いんです。
ファンの間では、「トトロのどんぐりは何の種類なのか」といった考察も盛んに行われています。
植物に詳しいファンが、映画に登場するどんぐりの形状から樹種を特定しようとする試みもあり、作品への愛情の深さが伝わってきますよね。
里山保全運動とトトロの森
となりのトトロの舞台とされる埼玉県所沢市周辺の狭山丘陵では、「トトロの森」を守る保全運動が行われています。
開発による森林伐採の議論の中で、「トトロのような自然を守りたい」という声が市民運動として広がりました。
現在、「トトロのふるさと基金」という公益財団法人が設立され、自然保護活動が続けられています。
どんぐりが落ちる雑木林、小川が流れる里山の風景。
そうした日本の原風景を守る運動の象徴として、となりのトトロが語られているんです。
映画の中のどんぐりは、現実の自然保護活動にもつながっているんですね。
となりのトトロの文化的影響と統計データ
初公開時の興行成績と後の評価の変化
意外に思われるかもしれませんが、となりのトトロは劇場公開時には大ヒットとは言えませんでした。
1988年の公開時、観客動員数は80.1万人、興行収入は5.9億円で、実は赤字だったんです。
しかし、テレビ放送が始まると状況は一変します。
日本テレビの「金曜ロードショー」で繰り返し放送されるたびに高視聴率を記録し、2010年7月23日の12回目の放送では、視聴率20%超えを10回達成しました(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。
これは、作品が時間をかけて人々の心に浸透していったことを示しています。
ビデオ・DVD販売の記録的ヒット
1997年に発売されたビデオ版は、発売1ヶ月で100万本を出荷しました。
2001年に発売されたDVD版は、オリコンチャートに500週ランクインし、国内売上100万枚を突破しています。
これは日本のアニメーション作品としては驚異的な記録です。
何度も繰り返し見たくなる作品の魅力が、こうした数字に表れているんですね。
子どもに見せたい映画として不動の人気
2011年にバンダイが実施した、0歳から12歳の子どもを持つ保護者を対象としたアンケートでは、となりのトトロが「子どもに見せたい映画第1位」に選ばれました。
親世代が子どもの頃に見て感動した作品を、自分の子どもにも見せたいと思う。
そんな世代を超えた支持が、となりのトトロの大きな特徴なんです。
音楽の継続的人気
2015年の着信メロディランキングでは、主題歌「となりのトトロ」が3位、挿入歌「さんぽ」が8位にランクインしました。
さらに、トトロ関連の楽曲5曲がトップ100入りを果たしています。
映画公開から27年が経過してもなお、音楽が愛され続けているんですね。
国際的評価の高さ
となりのトトロは、国際的にも高く評価されています。
イギリスの映画雑誌「Time Out」の長編アニメーショントップ50では第1位に選ばれました。
また、映画雑誌「Total Film」のアニメーション映画50本では第6位にランクインしています。
日本の里山文化という特殊な背景を持つ作品でありながら、普遍的な子ども時代の記憶や自然への憧憬を描いている点が、世界中で共感を呼んでいるんです。
まとめ:となりのトトロのどんぐりは、作品の心を表す大切なモチーフ
となりのトトロに登場するどんぐりは、単なる小道具ではありません。
それは、トトロという森の守り神の存在を示すサインであり、子どもたちと不思議な世界をつなぐ架け橋なんです。
宮沢賢治の『どんぐりと山猫』をルーツに持ち、日本の里山文化や自然との共生というテーマを象徴しています。
映画の中では、引っ越し初日に天井から落ちてくるシーン、メイが中トトロを追いかけるシーン、トトロからの贈り物として渡されるシーン、そして芽吹いて大木に成長するシーンなど、重要な場面で繰り返し登場します。
そして現実世界でも、教育現場での工作活動、公式グッズショップの名前、里山保全運動、SNSでの語り合いなど、さまざまな形でどんぐりとトトロの結びつきが生き続けているんですね。
劇場公開時は興行的に苦戦したものの、テレビ放送を通じて国民的作品となり、今では親から子へ、世代を超えて愛される作品になりました。
秋の日、どんぐりを拾ったらトトロを思い出してみて
次に秋の散歩でどんぐりを見つけたら、ちょっと立ち止まって手に取ってみてください。
その小さな木の実の中には、大きな木に育つ可能性が詰まっています。
そして、もしかしたらトトロが森のどこかで見守ってくれているかもしれません。
子どもの頃に感じた自然への純粋な驚きや喜び、不思議な体験の記憶。
となりのトトロは、そんな大切な感覚を思い出させてくれる作品です。
もし最近見ていないなら、また観てみるのもいいかもしれませんね。
大人になった今だからこそ、新しい発見があるはずです。
どんぐりという小さなモチーフを通して、自然の大切さ、子ども時代の輝き、そして目に見えないものを信じる心。
トトロが教えてくれることは、今も色あせることなく、私たちの心に語りかけてくれていますよ。