となりのトトロの時代設定は昭和何年?

となりのトトロの時代設定は昭和何年?

スタジオジブリの名作『となりのトトロ』を見ていると、懐かしい昭和の風景が広がっていますよね。

田んぼや古い家、黒電話など、レトロな雰囲気が魅力的ですが、具体的にどの時代の話なのか気になったことはありませんか?

実は、作品には複数の年代を示すヒントが隠されていて、公式の発表と宮崎駿監督の意図には微妙な違いがあるんです。

この記事では、『となりのトトロ』の時代設定について、監督自身の発言や作中に登場するカレンダーの検証、そして当時の時代背景まで詳しく解説していきますね。

結論:昭和28年(1953年)が監督の想定した時代設定

結論:昭和28年(1953年)が監督の想定した時代設定

『となりのトトロ』の時代設定は、公式には「昭和30年代初頭」とされていますが、宮崎駿監督自身は昭和28年(1953年)を想定して制作したと明言しています。

監督は『コクリコ坂から』のパンフレットに掲載された「企画のための覚書」の中で、「『となりのトトロ』は、1988年に1953年を想定して作られた。TVのない時代である」と述べているんですね。

つまり、最も正確な答えは昭和28年(1953年)ということになります。

ただし、作中には昭和30年から昭和33年までの年代を示すカレンダーや電報も登場するため、矛盾があるのも事実です。

なぜ昭和28年なのか?時代設定の詳細な理由

宮崎駿監督が昭和28年を選んだ理由

宮崎監督が昭和28年という時代を選んだのには、明確な理由がありました。

それは「テレビのない時代」を描きたかったからです。

日本でテレビ放送が始まったのは昭和28年2月1日ですが、一般家庭に普及するのはまだまだ先のこと。

昭和30年代に入ると徐々にテレビが家庭に入り始めますが、昭和28年ならまだテレビのない、のどかな田舎の暮らしを自然に描けるんですね。

「昭和30年代初頭」という公式設定との関係

公式に「昭和30年代初頭」とされているのは、おそらく企画段階での設定が残っているためと考えられます。

映画制作は長いプロセスを経るため、初期の設定と最終的な監督の意図が完全には一致しないこともあるんです。

また、「昭和30年代初頭」という表現の方が、一般の観客には伝わりやすいという判断もあったかもしれませんね。

昭和28年は厳密には昭和20年代後半ですが、昭和30年(1955年)との違いはわずか2年。

時代の雰囲気としては大きな差がないため、「昭和30年代初頭」という表現でも間違いとは言えないでしょう。

昭和28年の日本はどんな時代だったのか

昭和28年(1953年)は、戦後復興期の真っただ中でした。

終戦から8年が経ち、日本は少しずつ落ち着きを取り戻していた時期です。

  • 朝鮮戦争の特需景気で経済が回復し始めていた
  • 農村部では電気や水道などのインフラがまだ十分でない地域も多かった
  • 自動車はまだ一般的ではなく、バスや自転車が主な移動手段だった
  • テレビはまだ富裕層の贅沢品で、ラジオが娯楽の中心だった
  • 洗濯機や冷蔵庫などの家電製品も、これから普及していく段階だった

まさに『となりのトトロ』で描かれている、のどかで素朴な田舎の暮らしが残っていた時代なんですね。

作中に登場する時代の手がかりを検証

カレンダーと電報に見られる年代の矛盾

興味深いことに、映画をよく見ると、複数の異なる年代を示すアイテムが登場します。

これが『となりのトトロ』の時代設定をめぐる謎の源になっているんですね。

お母さんのお見舞いシーンの6月カレンダー

サツキとメイがお母さんのお見舞いに行くシーンで、病室に6月のカレンダーが映ります。

このカレンダーの日付の配置を検証すると、昭和28年(1953年)の6月と一致するんです。

これは宮崎監督の意図した時代設定と完全に合致していますね。

お父さんの書斎の5月カレンダー

一方、お父さんの書斎には5月のカレンダーが掛かっていて、こちらには「1955年」つまり昭和30年という表記が見られます。

これは監督の意図した昭和28年から2年ずれていることになります。

電報の消印

物語の中で登場する電報には「昭和32年8月11日」という消印があります。

昭和32年は1957年で、これは監督の想定からは4年も後の年代です。

お母さんの病室のカレンダー

別のシーンで映る病室のカレンダーは、昭和33年(1958年)の日付配置と一致するという指摘もあります。

これらの矛盾は、制作過程で複数のスタッフが異なる資料を参考にした結果だと考えられています。

なぜこのような矛盾が生まれたのか

時代設定に矛盾が生まれた理由は、制作の過程にあります。

初期の企画段階では「昭和30年代初頭」という大まかな設定で進められていました。

その後、宮崎監督が最終的に昭和28年を意図して演出したものの、すでに描かれていた背景美術や小道具のすべてを修正することはできなかったんですね。

アニメーション制作では、背景美術や小道具は多くのスタッフが分担して描きます。

監督の最終的な意図が全スタッフに徹底されなかったり、すでに完成していた絵を描き直す時間がなかったりすることは、制作現場ではよくあることなんです。

細部の時代考証よりも大切にしたもの

宮崎監督は、カレンダーの年代が多少ずれていることよりも、昭和の田舎の雰囲気や空気感を正確に伝えることを重視したのでしょう。

実際、ほとんどの観客はカレンダーの年代まで細かくチェックしませんし、物語の感動には影響しませんよね。

それよりも、古い日本家屋の佇まい、井戸水を使う生活、薪で炊くお風呂、田んぼや森の風景といった昭和の原風景が丁寧に描かれていることの方がずっと重要なんです。

時代設定に関する様々な意見と考察

ファンやジブリマニアの間での議論

『となりのトトロ』の時代設定については、公開から30年以上経った今でも、ファンの間で活発に議論されています。

ジブリ作品を深く研究しているファンたちは、作中の細かい描写から時代を特定しようと試みているんですね。

「カレンダー検証派」の意見

作中に登場するカレンダーの日付配置を一つ一つ検証し、どの年代と一致するかを調べるファンもいます。

SNSでは「お母さんの病室のカレンダーを見ると、昭和28年の6月と完全に一致する」「いや、別のシーンでは昭和30年のカレンダーが映っている」といった議論が見られますね。

こうした細かい検証は、作品への愛情の深さを感じさせます。

「雰囲気重視派」の意見

一方で、「細かい年代にこだわるより、昭和の田舎の雰囲気を味わうのが大切」という意見も多くあります。

「昭和28年でも33年でも、描かれている世界観は変わらない」「監督が伝えたかったのは、特定の年代ではなく、失われた日本の原風景なのでは」といった声もSNSで見られますね。

「複数年説」を唱える人も

面白い考察として、「物語が複数年にわたっている可能性」を指摘する人もいます。

「サツキたちが引っ越してきてから、お母さんが退院するまでの間に数年が経過しているのでは」という説です。

ただし、作中の季節の移り変わりや子供たちの成長具合を見ると、物語は数ヶ月程度の出来事と考えるのが自然でしょう。

宮崎監督の他の発言から読み解く

宮崎監督は様々なインタビューで、『となりのトトロ』の時代設定について触れています。

監督が一貫して強調しているのは、「テレビのない時代」「自然と共に生きる暮らし」という点です。

「昭和28年」という具体的な年号よりも、子供たちが自然の中で自由に遊べる時代を描きたかったという思いが伝わってきますね。

また、監督自身の幼少期の記憶も作品に反映されているとされています。

宮崎監督は昭和16年(1941年)生まれなので、昭和28年当時は12歳。

ちょうどサツキくらいの年齢ですね。

監督自身が体験した、戦後の田舎の暮らしの記憶が、作品に色濃く反映されているのかもしれません。

時代設定が作品に与える影響

『となりのトトロ』の魅力は、単なるファンタジーではなく、リアルな昭和の暮らしの中に不思議な生き物が存在するというバランスにあります。

もし時代設定が現代だったら、この作品の魅力は大きく損なわれていたでしょう。

  • 携帯電話やインターネットがない時代だからこそ、子供たちの冒険が成立する
  • 自然が身近にある暮らしだからこそ、トトロとの出会いが自然に描ける
  • 家族の絆や地域のつながりが濃い時代だからこそ、温かい物語になる
  • 医療が発達していない時代だからこそ、お母さんの入院が重大な出来事になる

昭和28年という時代設定は、物語の説得力を高める重要な要素なんですね。

昭和28年当時の生活と作品の描写

住まいと生活様式

映画に登場する草壁家の家は、昭和初期から戦前に建てられたような古い日本家屋です。

広い縁側、障子や襖、そして何より、家の中に「まっくろくろすけ」がいるような古い家。

昭和28年当時の田舎では、こうした古い家に住むのが当たり前でした。

井戸水を使い、薪でお風呂を沸かし、洗濯は手洗いか足踏み式の洗濯機。

冷蔵庫もまだない家庭が多く、食べ物は井戸水で冷やしたり、その日のうちに食べきったりしていました。

作中でサツキが弁当を作るシーンがありますが、梅干しとご飯だけのシンプルな弁当が当時の一般的なものだったんですね。

交通手段と移動

作中で印象的なのが、バスのシーンです。

サツキとメイがお母さんの病院へ行くときに乗る、ボンネットバス。

昭和28年当時、田舎の主な公共交通機関はこうしたバスでした。

自家用車を持っている家庭は都会でもごくわずかで、田舎ではほとんどありません。

お父さんが自転車で移動したり、近所の人がリヤカーを使ったりする描写も、当時の生活を正確に反映しています。

医療と病院

お母さんが入院している「七国山病院」は、おそらく結核のサナトリウム(療養所)をモデルにしていると考えられます。

昭和20年代から30年代にかけて、結核は「国民病」と呼ばれるほど蔓延していました。

有効な治療薬が普及し始めたのが昭和26年頃からで、昭和28年はまだ結核が恐れられていた時代です。

長期入院が必要で、家族と離れて療養しなければならない。

そんな状況が、サツキとメイの寂しさや不安をより深く描き出しているんですね。

子供の遊びと教育

メイが一人で遊んでいるシーン、サツキが学校から帰ってくるシーン。

子供たちの遊びは、すべて自然の中での遊びです。

昭和28年当時、テレビゲームやおもちゃは少なく、子供たちは外で遊ぶのが当たり前でした。

森で探検したり、小川で遊んだり、虫を捕まえたり。

そうした遊びの中で、トトロとの出会いが自然に描かれているんですね。

また、サツキが通う学校は木造の校舎で、複式学級(複数の学年が一つの教室で学ぶ)だったかもしれません。

これも田舎の小学校では一般的な光景でした。

「昭和30年代」という公式設定の意味

なぜ「昭和30年代初頭」と表現されるのか

公式に「昭和30年代初頭」とされているのは、一般の観客にとってわかりやすい表現だからでしょう。

「昭和30年代」と聞くと、多くの人が「戦後復興期」「高度経済成長の前」「テレビや家電が普及し始める前」といったイメージを持ちます。

これは『となりのトトロ』の世界観と重なりますよね。

一方、「昭和28年」と具体的に言われても、ピンとこない人も多いかもしれません。

昭和28年と昭和30年の違いは、歴史に詳しい人でないとわかりにくいものです。

「初頭」という曖昧な表現の利点

「昭和30年代初頭」という表現には、ある程度の幅があります。

一般的には昭和30年から昭和34年くらいまでを指すことが多いですね。

この曖昧さが、作中の時代の矛盾を包み込んでくれるという利点もあります。

「昭和28年」と断定してしまうと、カレンダーや電報の矛盾が問題になりますが、「昭和30年代初頭」なら大らかに受け止められるんですね。

時代を特定しすぎない美学

実は、時代を厳密に特定しないことには、作品としての美学があります。

『となりのトトロ』は、特定の年の特定の場所の物語ではなく、「かつて日本にあった風景」全体を象徴する物語なんです。

昭和20年代後半から30年代初頭にかけて、日本中の田舎に存在した暮らし。

それを一つの作品に凝縮したのが『となりのトトロ』だと言えるでしょう。

だからこそ、多くの人が「自分の故郷に似ている」「祖父母の家を思い出す」と感じられる、普遍的な懐かしさを持つ作品になっているんですね。

他のジブリ作品との時代比較

同じく昭和を舞台にした作品たち

スタジオジブリには、昭和を舞台にした作品がいくつかあります。

それぞれの時代設定を比較すると、興味深いことがわかります。

『火垂るの墓』(昭和20年・1945年)

太平洋戦争末期の神戸を舞台にした作品です。

『となりのトトロ』の約8年前で、まだ戦争の傷跡が生々しい時代ですね。

『コクリコ坂から』(昭和38年・1963年)

東京オリンピックの前年、高度経済成長期の横浜が舞台です。

『となりのトトロ』から約10年後で、時代は大きく変わっています。

『風立ちぬ』(大正から昭和初期)

大正末期から昭和初期の航空技術者の物語。

『となりのトトロ』よりさらに前の時代です。

時代設定が作品のテーマに与える影響

これらの作品を見ると、宮崎監督や高畑勲監督が時代設定を非常に大切にしていることがわかります。

『となりのトトロ』が昭和28年という、戦後の混乱が落ち着き、高度経済成長が始まる直前の時代を選んだのは、偶然ではありません。

それは、日本が最後に持っていた、自然と共生する暮らしを描くためだったんですね。

まとめ:トトロの時代は昭和28年、でも大切なのは雰囲気

『となりのトトロ』の時代設定について、改めて整理しましょう。

  • 宮崎駿監督の意図:昭和28年(1953年)
  • 公式設定:昭和30年代初頭
  • 作中の矛盾:昭和28年から33年までの複数の年代が混在

最も正確な答えは、監督自身が明言している「昭和28年(1953年)」です。

ただし、公式には「昭和30年代初頭」とされていますし、作中には複数の年代の痕跡があります。

これらの矛盾は、制作過程で生まれた自然なものであり、作品の価値を損なうものではありません。

むしろ大切なのは、昭和20年代後半から30年代初頭の、日本の田舎の雰囲気や暮らしが丁寧に描かれていることなんですね。

テレビのない時代、自然が身近にあった時代、家族や地域の絆が強かった時代。

そんな「失われた日本の原風景」を、多くの人が懐かしく感じられる作品になっているのが、『となりのトトロ』の魅力なんです。

トトロの時代を感じながら、もう一度作品を楽しんでみませんか

『となりのトトロ』の時代設定について知ると、作品の見方が少し変わってきませんか?

次に作品を見るときは、ぜひ細かい部分にも注目してみてください。

カレンダーの日付、家の造り、バスの形、子供たちの服装。

そうした一つ一つに、昭和の暮らしへのこだわりが詰まっています。

また、もし可能なら、ご両親や祖父母の方と一緒に見るのもおすすめですよ。

昭和28年前後を実際に生きた世代の方々にとって、『となりのトトロ』は単なるアニメではなく、自分たちの子供時代の記憶そのものかもしれません。

「この頃はこうだったよ」「うちの田舎もこんな感じだった」という話を聞きながら見ると、作品の理解がさらに深まるでしょう。

時代は変わっても、『となりのトトロ』が伝える温かさや優しさは、今も変わらず私たちの心に響きます。

昭和28年という時代設定を知った上で、改めて作品の世界に浸ってみてくださいね。

きっと新しい発見や感動があるはずです。

キーワード: となりのトトロ 時代設定 昭和何年