
スタジオジブリの名作『となりのトトロ』を象徴する、あの有名なバス停のポスター。
雨の中、大きなトトロと一緒に並んで立つ女の子の姿に、誰もが心を奪われたことでしょう。
でも、よく見るとこの女の子、サツキにもメイにも見えて、でもどちらとも言い切れない不思議な存在なんですよね。
黄色い服にオレンジのスカート、黒髪のツインテールというビジュアルは、映画本編のどのシーンとも完全には一致しないのです。
実はこの「ポスターの女の子」には、宮崎駿監督の制作過程における興味深い秘密が隠されています。
長年ファンの間で話題になってきたこの謎について、公式情報や制作背景を踏まえながら、詳しく解説していきますね。
結論:ポスターの女の子の正体

となりのトトロの劇場公開時ポスターに描かれている女の子は、サツキでもメイでもない「謎の少女」です。
この少女は、宮崎駿監督が1975年に描いた初期イメージボードに登場する、単独主人公の女の子を反映したものなんですね。
現在私たちが知っている映画本編には一切登場せず、ポスター、DVDパッケージ、金曜ロードショーのアイキャッチなど、ビジュアル素材としてのみ存在する特別なキャラクターなのです。
この少女の特徴を整理すると、以下のようになります。
- 黄色い服にオレンジのスカート(サツキ風の服装)
- 黒髪のツインテールと顔つき(メイ風の容姿)
- 年齢設定は明確ではないが、サツキとメイの中間的な印象
- 映画本編には登場しないポスター専用のキャラクター
つまり、サツキとメイ両方の要素を併せ持った「第三の少女」として、ポスター用に特別にデザインされたキャラクターということになります。
なぜサツキでもメイでもない少女が生まれたのか
『となりのトトロ』制作の初期構想
この謎を解く鍵は、『となりのトトロ』の制作過程にあります。
実は宮崎駿監督が1975年に描いた最初のイメージボードでは、主人公は1人の女の子だったんですね。
その女の子は5歳くらいの設定で、容姿はメイに似ていながら、服装はサツキのような黄色い服を着ていました。
この初期イメージボードには、すでに「雨のバス停でトトロと出会う」という象徴的な場面が描かれていたのです。
姉妹構成への変更
その後、制作が進む中で、宮崎監督は主人公を姉妹に変更することを決めました。
12歳のサツキと4歳のメイという設定になったことで、物語に深みと広がりが生まれたんですね。
姉妹にすることで、姉としての責任感や妹への愛情、それぞれの視点から見た世界など、より豊かな表現が可能になりました。
しかし、ここで問題が生じました。
ポスターの構図において、サツキとメイの二人をトトロと並べるのがどうしても難しかったのです。
宮崎監督の判断
宮崎監督は「サツキとメイの二人がトトロと並ぶのは、どうしても違う」と判断しました。
雨のバス停でトトロと出会うシーンは、映画の中でもサツキが一人で体験する特別な瞬間として描かれています。
メイはその時、お父さんの背中で眠っているんですよね。
ポスターというのは、映画の世界観を一枚の絵で象徴的に表現するもの。
そのため、初期の単独主人公のイメージをベースに、柔軟な発想でサツキとメイの要素を融合させた少女を作り上げることにしたのです。
『パンダコパンダ』からの影響
この初期イメージには、宮崎監督が以前に手がけた『パンダコパンダ』の影響も見られます。
『パンダコパンダ』の主人公・ミミコは、実は『となりのトトロ』の原型とも言える存在なんですね。
一人の少女と不思議な生き物との出会いという構図は、すでにこの作品で描かれていました。
宮崎監督の中で、長年温めてきたテーマが『となりのトトロ』で結実したと言えるでしょう。
ポスターの女の子に関する反応と話題
ネット上で長年議論されてきた謎
この「ポスターの女の子」は、インターネット上で長年話題になってきました。
多くの人が「言われるまでメイだと思っていた」「サツキだと思ってた」という反応を示しています。
YouTube上の解説動画では、岡田斗司夫さんの切り抜き動画が17万回以上再生されるなど、高い関心を集めているんですね。
それだけこのポスターが印象的で、多くの人の記憶に残っているということでしょう。
2024年に再燃した話題
2024年8月23日放送の金曜ロードショーでは、公式X(旧Twitter)アカウントでこの話題が再び取り上げられました。
公式が言及したことで、改めて多くのファンがこの謎に注目することになったんですね。
新たな世代のファンも含めて、幅広い年齢層で議論が盛り上がりました。
何十年経っても色褪せない『となりのトトロ』の魅力を、改めて感じさせる出来事でした。
ファンの間での様々な解釈
SNSやネット掲示板では、この少女について様々な解釈が語られています。
「サツキとメイが融合した姿なんじゃないか」という声や、「二人の記憶の中の理想的な自分の姿」という考察もあります。
また、「ポスターだけに存在する特別な存在だからこそ、より神秘的で魅力的」という意見も見られますね。
こうした多様な解釈を生み出すこと自体が、このビジュアルの持つ力なのかもしれません。
公式での継続使用
興味深いのは、スタジオジブリ公式サイトや小説版の表紙でも、このイラストが継続して使用されていることです。
つまり、ジブリ側もこの少女を『となりのトトロ』を代表するビジュアルとして認めているということなんですね。
DVDやブルーレイのパッケージ、金曜ロードショーのアイキャッチなど、今でも様々な場面で目にすることができます。
映画本編には登場しないキャラクターが、作品の顔として定着しているというのは、非常に珍しいケースと言えるでしょう。
ポスターの女の子が持つ象徴的な意味
制作過程の痕跡としての価値
この謎の少女は、『となりのトトロ』という作品が生まれるまでの試行錯誤の痕跡でもあります。
単独主人公から姉妹構成への変更、その過程で生まれた初期イメージ。
創作というのは、こうした様々なアイデアが積み重なって完成するものなんですよね。
ポスターの少女を知ることは、宮崎駿監督の創作プロセスを垣間見ることでもあるのです。
映画本編を超えた存在
映画本編には登場しないにもかかわらず、多くの人がこの少女の姿を『となりのトトロ』の代表的なイメージとして記憶しています。
これは、ポスターやパッケージというメディアが持つ力の大きさを示していますね。
作品との最初の出会いは、多くの場合このポスターのビジュアルなのです。
だからこそ、この少女は多くの人の心に深く刻まれているのでしょう。
サツキとメイの本質を表現
ある意味で、この少女はサツキとメイ両方の本質を一つの姿で表現しているとも言えます。
サツキの持つしっかり者の面と、メイの持つ無邪気さや純粋さ。
その両方を併せ持った少女像は、『となりのトトロ』という作品全体のテーマを象徴しているのかもしれません。
子どもの持つ多様な側面を、一人の少女に凝縮して表現したとも考えられますね。
時代を超えた普遍性
この少女の姿が持つもう一つの魅力は、時代を超えた普遍性です。
特定の個人ではなく、どこか抽象的で象徴的な存在だからこそ、世代を超えて共感を呼ぶのでしょう。
1988年の公開から30年以上経った今でも、この少女の姿は色褪せることなく私たちの心に響きます。
それは、宮崎監督が描いた「子どもと自然の出会い」という普遍的なテーマが、この一枚の絵に込められているからなんですね。
まとめ
となりのトトロの有名なポスターに描かれている女の子は、サツキでもメイでもない「謎の少女」です。
この少女は、宮崎駿監督が1975年に描いた初期イメージボードに登場する単独主人公の女の子がベースになっています。
当初は一人の主人公だった物語が、制作過程で姉妹の物語へと変化しました。
しかしポスターでは、初期の単独主人公のイメージを活かし、サツキとメイの要素を融合させた特別な少女が描かれたのです。
黄色い服にオレンジのスカート(サツキ風)、黒髪のツインテールと顔つき(メイ風)という特徴を持つこの少女は、映画本編には一切登場しません。
それでもなお、DVDパッケージ、金曜ロードショーのアイキャッチ、公式サイトなどで継続的に使用され、作品を象徴する存在として定着しています。
この「ポスターだけに存在する少女」は、『となりのトトロ』という作品が生まれるまでの創作過程の痕跡であり、同時に作品の本質を一枚の絵で表現した芸術作品でもあるのです。
次に『となりのトトロ』を見る機会があったら、映画本編を楽しむと同時に、ポスターの少女にも注目してみてください。
サツキとメイ、そしてこの謎の少女、三人の姿を比べてみると、宮崎駿監督の創作の奥深さがより一層感じられるはずです。
ジブリ作品の魅力は、こうした細部にまで込められた作り手の想いにあるんですよね。
何度見ても新しい発見がある『となりのトトロ』の世界を、改めて楽しんでみてはいかがでしょうか。