
『となりのトトロ』を観たことがある方なら、サツキとメイがトトロと一緒に踊るあの幻想的なシーンを覚えているのではないでしょうか。
真夜中、月明かりの下で植物がぐんぐん成長していく姿は、観る人の心に深く残る名場面ですよね。
あのシーンで芽が出る植物の種類は何なのか、なぜトトロたちは踊るのか、宮崎駿監督はどんな思いを込めたのか。
この記事では、あの印象的な芽が出るシーンについて、詳しく解説していきます。
トトロの芽が出るシーンは「どんどこ踊り」

『となりのトトロ』の芽が出るシーンは、サツキとメイがトトロと一緒に「どんどこ踊り」を踊ることで、植物を芽吹かせる場面です。
夜中に目を覚ましたサツキとメイが庭に出ると、大トトロと中トトロ、小トトロが木の実の周りで不思議な踊りを踊っていました。
二人も一緒に踊りに加わると、埋めた木の実からみるみるうちに芽が出て、大きな木へと成長していきます。
この「どんどこ踊り」は、自然の精霊であるトトロが持つ、植物を成長させる力を表現したシーンなのです。
なぜトトロは芽を出すことができるのか
トトロは森の守り神という設定
トトロは「となりのトトロ」の世界観において、森の守り神、自然の精霊として描かれています。
だからこそ、植物を成長させる不思議な力を持っているんですね。
作中でトトロが住んでいるのは大きなクスノキの中で、自然と深く結びついた存在であることが示されています。
このような設定があるからこそ、トトロには植物を芽吹かせ、急速に成長させる力が備わっているのです。
どんどこ踊りの意味
「どんどこ踊り」という名前は、トトロたちが踊る際の太鼓のような「どんどこ、どんどこ」というリズムから来ています。
このダンスは、自然への感謝や豊作を願う儀式のようなものとして描かれているのです。
日本の伝統的な雨乞いの踊りや豊作祈願の儀式をモチーフにしているとされており、自然崇拝の文化が根底にあります。
サツキとメイが一緒に踊ることで、子どもたちも自然の一部となり、その神秘的な力を共有する瞬間が生まれるのですね。
芽が出る植物の種類
実は、このシーンで芽吹く植物についても、宮崎駿監督は細かく設定しています。
サツキのスケッチには以下のような植物が記載されています。
- クヌギ
- シラカシ
- コナラ
- マテバシイ
これらはすべてドングリがなるブナ科の植物です。
こうした詳細な設定からは、宮崎駿監督の自然へのこだわりと、日本の里山の植生への深い理解が感じられますよね。
単なるファンタジーではなく、実際の植物をベースにすることで、リアリティと説得力を持たせているのです。
宮崎駿監督の意図
宮崎駿監督は、このシーンについてインタビューでこう語っています。
「ああいうことってのは、みんな子どものときに一度や二度は経験しているんじゃないかと思うんです」
これは、子どもの頃に植物の成長を見守る経験という、誰もが共有できる素朴な喜びを映像化したものだと考えられます。
種を植えて、毎日水をやって、芽が出るのを待つあのワクワク感。
そして、ある朝目を覚ますと小さな芽が顔を出している感動。
そんな普遍的な子ども時代の体験を、トトロという不思議な存在を通じて、より幻想的に、より印象的に描いたのがこのシーンなのです。
芽が出るシーンに対する様々な反応
ファンの間で語られる解釈
芽が出るシーンについては、多くのファンがそれぞれの解釈を持っています。
「自然への畏敬の念を教えてくれるシーン」という声が多く聞かれます。
トトロと一緒に踊ることで、サツキとメイは自然の一部となり、自然の持つ神秘的な力を目の当たりにします。
このシーンを観た子どもたちが、自然を大切にする心を育んでいくきっかけになっているという意見も多いですね。
音楽の果たす役割
このシーンで流れる久石譲作曲の音楽も、大きな魅力の一つです。
「風のとおり道」をベースにしたメロディは、神秘的でありながら、どこか懐かしい雰囲気を醸し出しています。
音楽と映像が一体となって、観る人を幻想的な世界へと誘い込むのです。
「あの音楽を聴くだけでシーンが思い浮かぶ」というファンも多く、音楽が与える印象の強さが伺えますね。
小説版との違い
実は、小説版の『となりのトトロ』では、映画版とは異なる展開があります。
小説版では、サツキとメイの留守中に、トトロから貰った木の実から生えた芽をカンタが世話をしてあげるという優しさが描かれているのです。
映画版では描かれなかったカンタの優しい一面が、小説版では丁寧に描写されています。
このディテールを知ると、カンタというキャラクターへの印象も変わってきますよね。
映画だけでなく、小説版も読むことで、より深く作品世界を楽しむことができるのです。
アニメーション技術の凄さ
このシーンは、1988年公開当時のアニメーション技術においても、非常に高度な表現でした。
種から芽が出て、どんどん成長していく様子を、一枚一枚手描きで表現しているのです。
デジタル技術が発達した現代から見ても、その動きの滑らかさと生命力あふれる表現は圧巻ですよね。
スタジオジブリのアニメーターたちの技術と情熱が詰まったシーンだと言えるでしょう。
夢と現実の境界線
このシーンについて、「夢なのか現実なのか」という議論もよく行われます。
映画の中では、翌朝サツキとメイが庭を見ると、大きく育った木はなく、小さな芽だけが出ている描写があります。
これは、大きく成長した木は夢の中の出来事だったことを示唆しています。
しかし、芽が出ていることは現実であり、トトロとの出会いや体験が完全な夢ではなかったことを示しているのですね。
この夢と現実の曖昧な境界線こそが、『となりのトトロ』の魅力の一つなのです。
まとめ:芽が出るシーンに込められた深い意味
『となりのトトロ』の芽が出るシーンは、サツキとメイがトトロと一緒に「どんどこ踊り」を踊ることで、クヌギやシラカシなどのブナ科の植物を芽吹かせる場面です。
このシーンには、以下のような深い意味が込められています。
- 自然の精霊であるトトロの持つ神秘的な力の表現
- 子どもの頃に誰もが経験する、植物の成長を見守る喜びの映像化
- 自然への畏敬の念と感謝の気持ちを表す儀式的な踊り
- 夢と現実の境界が曖昧な、子ども時代特有の感覚の表現
宮崎駿監督は、単なるファンタジーシーンとしてではなく、誰もが持つ子ども時代の記憶に訴えかける、普遍的な体験として描いているのです。
小説版では描かれるカンタの優しさや、細かく設定された植物の種類など、知れば知るほど深みが増すシーンなのですね。
もう一度観てみませんか
この記事を読んで、あの芽が出るシーンの意味や背景を知ったあなたは、きっと今までとは違った視点で『となりのトトロ』を楽しめるはずです。
トトロたちが踊る意味、サツキのスケッチに描かれた植物の種類、宮崎駿監督が込めた思い。
そういった知識を持って観ると、あのシーンがより感動的に、より意味深く感じられるでしょう。
もし最近『となりのトトロ』を観ていないなら、ぜひもう一度観てみてください。
そして、小説版もまだ読んだことがないなら、映画では描かれなかった部分も楽しんでみてはいかがでしょうか。
子どもの頃に感じたあのワクワク感を、大人になった今、新しい発見とともに味わってみてくださいね。