パートナーが亡くなると、悲しみのどん底のような気分になりますよね。しかし、パートナーが亡くなったあとの生活は何事も無かったかのように続きます。
葬儀も落ち着いてくると、色んなことが見えてきますが、1番しんどいのは、お金ではないでしょうか。亡くなったパートナーが頑張って働いていたら、その分の稼ぎが大幅に減ります。
中には、減りすぎてどうしようもなくどうしていいのか分からない人もいます。稼ぎが足りないからパートを探してもなかなか決まりません。
大切なご家族が亡くなったら… |
そうなると、ゆくゆくはどうしていいのか息詰まりますよね。しかし、国の制度では、パートナーが亡くなっても生活できるような制度があります。
その制度が遺族年金です。今回は遺族年金について、簡単に説明していきます。
大切な人が亡くなったら知っておきたい遺族年金のポイント
まず、生活面のことについては遺族年金の受給対象になるか確かめてみます。遺族年金は、年金がついているのですぐには受給されないのではと思われがちです。
年金と聞くと定年退職後にもらうお金という認識が強いからです。テレビでも、退職後の年金の特集が多いですよね。その影響からかどうせすぐにはもらえないとなってしまっても致し方ないことです。
しかし、遺族年金は申請して対象者ならもらえます。遺族年金のポイントについてまとめました。
ポイント①遺族年金には2種類ある
はじめに、遺族年金の種類についてです。遺族年金は以下の2種類に分かれます。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
どちらの年金が対象になるのかは、故人の生前の職業によって変わってきます。遺族基礎年金と遺族厚生年金に分けて解説していきます。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、故人が国民年金に加入していた場合です。国民年金の加入者は、商売を含めた自営業、自由業、農業や漁業で生計を立てている方が対象になります。
また、フリーターやパート、無職も国民年金加入者の対象です。
意外にも、野球選手や芸能人もここにカテゴライズされます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、故人が会社員、公務員だった場合です。ただし、故人が亡くなった現状では国民年金に加入していたが、1度でも会社員をしていた場合があれば、こちらにカテゴライズされる場合もあります。
たとえば、亡くなったパートナーが年金受給者だった場合、定年退職をしたなら、こちらにカテゴライズされます。
ポイント②遺族年金の相談窓口について
次は、遺族年金の相談窓口です。公的な制度は複雑なので、1度は相談してから申請をするのが鉄則となっています。
では、相談窓口はどこかですよね。相談窓口は、お住みの年金事務所か街角の年金センターのいずれかで対応しています。窓口が限られ、相談者が多いです。時間には余裕をもっておいてくださいね。
ポイント③受給対象者は遺族年金の種類によって変わる
次は、受給対象者についてです。非常にややこしくなりますが、簡単に説明していきます。今度は、故人ではなく、年金を受け取る本人についてです。
遺族基礎年金
故人が自営業、野球選手や芸能人であった場合は、遺族基礎年金の受給対象になります。 では、この年金に対して受け取れるのは、どのような人でしょうか。
受給できるのは、以下の人たちです。
遺族基礎年金の受給対象者
- 18歳未満の子供がいる配偶者 (※配偶者は夫でも妻でも構わない) (※子供に障害があり障害年金1級、2級を受給していたら20歳未満まで拡大)
- 18歳未満の子供(※子供に障害があり障害年金1級、2級を受給していたら20歳未満まで拡大)
子供がいることかつ18歳未満が条件となるので、対象者が非常に限られてきます。配偶者の方が事業を継ぐのであれば、もらえなくても、問題はありません。
しかし、事業が継げず廃業にする場合は、自分で職を見つけるなりしないと、生活が途端に厳しくなります。
遺族厚生年金
故人が会社員や公務員だった場合、遺族厚生年金の対象になります。では、受け取る本人はどのような人が対象でしょうか。
遺族厚生年金の受給対象者
- 配偶者(※子供がいなくても可)
- 配偶者の子供
- 父母
- 祖父母
- 孫
遺族基礎年金との違いは、受給対象者の範囲の広さです。遺族厚生年金では、子供がいなくても結婚してパートナーがいれば、受給できます。また、自分の祖父母、孫も受給対象となります。
ポイント④受給期間も遺族年金の種類によって変わる
遺族年金は、受給期間も決まっています。唯一決まっていないのは、遺族厚生年金の一部の人たちだけです。具体的に期限はいつまでなのか見ていきます。
遺族基礎年金
遺族基礎年金の場合は、受給期間が決まっています。条件は、18歳未満(障害があるお子さんの場合は20歳未満)までの子供がいる配偶者でしたよね。受給期間は、子供の年齢に関係してきます。
受給期間
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- 子供が18歳になるまで(※障害年金1級、2級を受給している場合は20歳まで)
受給者の年齢は関係ありません。子供が18歳または20歳のいずれかに達すれば、受給は打ち切りとなります。子供がいる世帯が対象なので、子供が就職することを前提に考えられています。
遺族厚生年金
遺族厚生年金についてです。遺族厚生年金は、受給者の年齢や受け取る人がどのような立場であるかによっても変わってきます。詳細な受給期間は以下のとおりです。
受給期間
- 30歳以上の配偶者:再婚するまで一生涯
- 30歳未満の子のいない配偶者:5年間
- 55歳以上の夫、父母、祖父母:60歳から支給開始
一番注意してほしいのは、30歳未満の子がいない配偶者の場合です。支給期限が5年となっており、一生涯受けられません。20歳代だと、転職にも有利な上すぐに職が見つかるという考え方からでしょうか。若いときに不幸があった場合は、やるせないですよね。
ポイント⑤死亡診断書のコピーは大切に保存しておくまたは、すぐに申請に行く
最後のポイントは、手続きを行うとき必要な書類の一部に死亡診断書が必要であることです。死亡診断書の原本は、葬儀のときに提出しますよね。手続きのときにも、死亡診断書のコピーがあったほうがいいです。なければ死亡届で代用が可能です。
うっかり忘れていたのでは、その分受給ができなくなります。その点は注意しておきましょう。
遺族年金の手続きに必要なものとは?
公的な制度の場合、他の制度と同じですが手続きに必要な添付書類が別途必要になってきます。遺族年金に関しては、以下のものが必要となってきます。
年金の相談を一度で済ませたい場合は、あらかじめ持っていくとスムーズにいきます。
メモ
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 故人の住民票の除票
- 請求者の収入が確認できる書類
- 子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、高等学校、大学在学中の場合は、学生証か在学証明書)
- 死亡診断書(死体検案書)のコピーまたは死亡届
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
- 印鑑(認め印可)
収入が確認できる書類、死亡診断書、印鑑、金融機関の通帳以外は、市町村役場で取り寄せが可能です。他の手続きを済ませるときにも、戸籍謄本や住民票の写しが必要となったりするので、そのときに合わせて取得しておいてください。
遺族年金受給までの流れ
最後に、遺族年金受給までの流れです。申請から一般的な流れについて紹介します。有効期限があるものについては、期限が来れば打ち切りになり支給が終了します。
STEP①申請書類を年金事務所または街角の年金センターに提出
まずは、申請書類と必要書類を年金事務所または街角の年金センターへ提出します。提出までの時間は、人によりけりです。なるべく早めに提出することをおすすめします。申請書類を出すと、受給にふさわしいか審査があります。
審査の期間はおよそ2ヶ月くらいです。
STEP②年金証書・年金決定通知書が届く
もし、審査に通れば受給する権利が得られます。その際に、年金証書と年金決定通知書が届きます。この段階で受給開始がいつで、どのような形で支給されるのかが書いてあります。初回受取日まで待ちます。
年金証書については、受給者が死亡したときに返納することになるので、なくさないように大切に保管しておきます。
STEP③初回受取
初回受取は申し込んだ月によって違ってきます。
初回受取については、年金決定通知書にかかれているので参考にしてください。ここまでかかる期間はおよそ申請から3ヶ月から4ヶ月程度になります。
STEP④定期受取(以後2ヶ月に1度支給)
初回受取が終われば、定期受取に移行します。定期受取は2ヶ月に1度の支給となります。振込日は15日です。
詳細な額は、1年の総受給額を6で割った数字になります。
有効期限がある方は有効期限まで、ない方は一生涯続きます。また受給者が厚生年金の受取の対象になれば、厚生年金の受取はできなくなります。
まとめ
- 遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類
- 遺族年金は故人の生前の職業によって決まる
- 遺族年金の相談窓口は、年金事務所か街角の年金センター
- 遺族年金の支給は手続きから3ヶ月後あたりから
今回は、遺族年金についてお話してきました。上記のまとめにも書きましたが、まずは、年金事務所か街角の年金センターで詳しく話を聞いてもらってからです。年金制度は複雑で誰しも自分が対象者なのか調べますが、最終的な判断は国です。その直轄でもある年金事務所か街角の年金センターのほうが詳細に説明してくれます。
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