
美しい童話として知られる「かぐや姫の物語」ですが、実はその裏側に恐ろしい要素がたくさん隠されているんです。
ジブリ映画を観た人の中には「なんだか怖かった」「ゾッとした」という感想を持った方も多いのではないでしょうか?
原作の『竹取物語』から高畑勲監督の映画版まで、一見美しいストーリーの中に潜むストーカー行為、強制的な求婚、そして絶望的な結末。
この記事では、なぜ「かぐや姫の物語」がホラーと言われるのか、その怖さの正体を詳しく解説していきますね。
結論:かぐや姫の物語は現代的視点で見るとホラー要素満載

かぐや姫の物語は、執着・強制・喪失という三大ホラー要素が詰まった作品です。
美しい映像や優しい音楽の裏で展開されるのは、女性の意志を無視した男たちの異常な執着、親の愛という名の束縛、そして最終的に自我を奪われて連れ去られる絶望的な結末なんです。
特にジブリ映画『かぐや姫の物語』(2013年公開)では、高畑勲監督がこれらの要素をより鮮明に描き出しています。
キャッチコピーの「あゝ無情」が示すように、この物語は幸せなハッピーエンドではなく、どこまでも悲しく、どうしようもない無力感に満ちた作品なのです。
かぐや姫の物語がホラーと言われる理由

平安貴族たちの異常なストーカー行為
原作『竹取物語』で最も恐ろしいのが、求婚者たちの行動パターンです。
彼らはかぐや姫の美しさの噂を聞いただけで、実際に会ったこともないのに身もだえして執着します。
原文には「垣間見る」という言葉が登場しますが、これは隙間からこっそり覗き見る行為を指します。
現代で言えば完全にストーカー行為ですよね。
さらに「夜這い」と呼ばれる、求婚名目で夜な夜な通い詰める行為も描かれています。
姫本人の意志は完全に無視され、男たちの欲望だけが優先される恐怖。
これを美しい恋物語として読むのは、現代的な視点では非常に難しいんです。
帝(天皇)による強制的な接触
物語の中でも特に恐ろしいのが、帝による強制的な行為です。
帝は忍びでかぐや姫のもとを訪れ、抱きすくめて連れ去ろうとします。
これは権力者による暴力的な行為そのものです。
姫は必死に抵抗しますが、相手は国の最高権力者。
この場面には、女性が自分の身を守る術を持たない絶望感が描かれていますね。
美しい恋愛譚ではなく、力の差による支配と恐怖の物語なのです。
親の愛という名の束縛
ジブリ映画版で特に強調されるのが、育ての親による「愛の束縛」です。
翁とおばあさんは心から姫を愛していますが、その愛が姫を都での窮屈な生活へと追い込んでいきます。
親は「娘のため」と信じて行動しますが、実際には姫の本当の幸せを奪っているんです。
高畑勲監督は、この「善意による不幸」という構造を丁寧に描いています。
愛しているからこそ縛ってしまう、愛されているからこそ逆らえない。
この心理的な圧迫感こそが、物語の最も深い恐怖なのかもしれません。
月からの使者による強制連行
物語のクライマックスは、まさにホラー映画のような展開です。
満月の夜、天人たちが月から降りてきます。
竹取の翁が用意した2000人もの武士たちは、未知の力によって全員が眠らされてしまいます。
人間の力では全く太刀打ちできない、圧倒的な力の差。
かぐや姫は泣いて帰還を拒否しますが、羽衣を着せられると記憶と感情が消えていきます。
一瞬だけおばあさんたちの力で自我を取り戻しますが、それも束の間。
最終的には感情を奪われ、無表情のまま連れ去られるという絶望的な結末なんです。
求婚者たちの悲惨な末路
五人の求婚者たちにも、恐ろしい運命が待っています。
難題を出されたそれぞれが、偽物の宝物で誤魔化そうとして失敗します。
特に石上中納言は、本物の宝物を手に入れようとして事故死してしまうんです。
かぐや姫を手に入れようとした執着の結果が、死という形で表れる。
この因果応報的な展開も、物語に暗い影を落としていますね。
ジブリ版が特に怖いと言われる理由
高畑勲監督が意図した「罪と罰」のテーマ
高畑勲監督は、かぐや姫の物語を単なる美談としてではなく、「罪と罰」の物語として解釈しました。
監督自身がインタビューで、姫の罪を認め、諦めや無情を強調する演出を意図的に行ったと語っています。
地上での生活を望んだことが「罪」であり、月への強制帰還が「罰」である。
この構造は、幸せになりたいと願うこと自体が罪とされる恐怖を描いているんです。
希望を持つこと、夢を見ることが許されない世界。
これほど絶望的なテーマはありませんよね。
水彩画風の美しい映像が逆に不気味
ジブリ版の特徴的な水彩画風のアニメーションは、柔らかく優しい印象を与えます。
しかし、この美しさが逆に物語の暗さを際立たせているんです。
特に姫が感情を爆発させて走り出すシーンでは、絵がぐにゃりと歪み、線画のような荒々しいタッチになります。
美しい絵と恐ろしい内容のギャップが、観る者に強烈な不安感を与えるんですね。
穏やかな表面の下に隠された激しい絶望が、突然噴出する瞬間の恐怖。
これはホラー作品の常套手段でもあります。
女性視点で描かれる絶望感
高畑監督は、徹底的に女性視点から物語を描きました。
男たちの視線に晒され続ける不快感、自分の意志が尊重されない苦しみ、逃げ場のない絶望感。
2020年代の現代では、これらがジェンダー視点からのホラーとして再解釈されています。
「女の不幸」「親の愛の残酷さ」といったテーマが、より鮮明に恐怖として認識されるようになったんですね。
時代が進むにつれて、物語の持つ本当の怖さが理解されるようになってきたとも言えます。
SNSやネットで語られる「かぐや姫の物語」の怖さ
「ハッピーエンドじゃない絶望感が怖い」という声
多くの視聴者が、物語の結末に強い衝撃を受けています。
SNSやブログでは「哀しい」「無力」「救いがない」という感想が数多く見られます。
特に子供の頃に絵本で読んだストーリーと、ジブリ版の描く絶望的な結末のギャップに驚く人が多いんです。
「こんなに悲しい話だったのか」「子供に見せていいのか迷う」という親の声もありますね。
期待していたハッピーエンドが訪れず、ただただ無情な結末を突きつけられる恐怖。
これは精神的なホラーとして強く印象に残るんです。
「爆笑問題・太田光のホラーコピー案」が話題に
DVD/BD発売時、爆笑問題の太田光さんがホラー的なキャッチコピー案を提案したことが話題になりました。
「かぐや姫は、やな女」「女ってわからない」といった挑発的なコピーです。
これらは冗談めかした提案でしたが、実は物語の持つ理解不能な恐怖を的確に表現しているんです。
なぜ姫は地上を望んだのに拒絶するのか、なぜ幸せになれないのか。
その理不尽さ、わからなさこそが恐怖なんですね。
太田さんの提案は、皮肉にも作品の本質を突いていたと言えます。
「ストーカー物語として見ると本当に怖い」という考察
現代的な視点から原作を読み直すと、完全にストーカー被害の物語として読めるという指摘が増えています。
特に以下のような点が、現代では明確な犯罪行為として認識されます。
- 本人の意志を無視した執拗な求婚
- 覗き見や夜這いといった不法侵入
- 権力者による強制的な接触
- 拒否しても諦めない異常な執着
これらを「恋物語」として美化せず、被害者の恐怖として読み解く視点が広がっているんです。
平安時代の常識と現代の常識の違いが、作品をホラーへと変質させているとも言えますね。
「親の愛が重すぎて窒息しそう」という共感
特にジブリ版を観た若い世代から、親子関係の息苦しさに対する共感の声が多く上がっています。
「親の期待に応えなければならない重圧」「自分の幸せより親の喜びを優先させられる苦しみ」。
これらは現代社会でも多くの人が抱える悩みです。
かぐや姫が感じた逃げ場のない息苦しさは、多くの視聴者にとってリアルな恐怖として響くんです。
ファンタジーではなく、自分自身の問題として感じられるからこそ怖い。
それがこの作品の持つ現代的なホラー性なんですね。
「最後の強制連行シーンがトラウマ」という意見
多くの視聴者が最もトラウマとして挙げるのが、月からの迎えのシーンです。
天人たちが降りてくる神々しい映像と、そこで行われる強制的な記憶消去。
姫の感情が消されていく過程が、人格の死として描かれているんです。
肉体は生きていても、心は殺される。
これは物理的な死よりも恐ろしいという声も多くあります。
「子供の頃に観てずっと忘れられない」「大人になって観返しても怖い」という感想が、作品の持つ深い恐怖を物語っていますね。
まとめ:かぐや姫の物語は美しいけれど恐ろしい傑作
かぐや姫の物語が怖い、ホラーだと言われる理由は明確です。
執着、強制、喪失という三大恐怖要素が、美しい映像と音楽の裏に隠されているからなんです。
原作『竹取物語』に描かれるストーカー的求婚、ジブリ版で強調される親の愛という束縛、そして最終的な自我の喪失。
これらは単なる古典的な物語ではなく、現代的な視点で見ると非常にリアルな恐怖として立ち上がってきます。
高畑勲監督が意図した「罪と罰」のテーマ、キャッチコピー「あゝ無情」が示す通り、この作品には救いがありません。
だからこそ、多くの人の心に深く刻まれ、忘れられない作品となっているんですね。
美しさと恐ろしさが同居する、まさに傑作と呼ぶにふさわしい物語なのです。
怖いけれど、だからこそ観る価値がある
ここまで読んで「やっぱり怖そうだから観るのやめようかな」と思った方もいるかもしれませんね。
でも、だからこそ一度は観てほしい作品なんです。
この恐怖は、単なるホラー映画のような一時的な怖さではありません。
人生の理不尽さ、幸せになることの難しさ、愛することの残酷さといった、普遍的なテーマを描いた深い恐怖なんです。
観た後に心に残る重さは、あなたの人生観に何か新しい視点を与えてくれるかもしれません。
恐ろしいけれど美しい、悲しいけれど忘れられない、そんな特別な体験をぜひ味わってみてください。
心の準備ができたら、静かな夜にゆっくりと鑑賞してみてくださいね。