
スタジオジブリの名作『かぐや姫の物語』を観た方の中には、この映画のナレーションについて気になった方も多いのではないでしょうか。
高畑勲監督が手がけたこの作品は、独特の水彩画風の映像表現と合わせて、語りの部分も印象的ですよね。
実は『かぐや姫の物語』には、従来のアニメーション作品のような明確な「ナレーター」という役割は存在しないんです。
この記事では、かぐや姫の物語のナレーションに関する特徴や、なぜそのような演出になっているのか、そして作品全体における語りの役割について詳しく解説していきます。
『かぐや姫の物語』にナレーションはない

結論から言うと、『かぐや姫の物語』には独立したナレーションは存在しません。
この作品は、登場人物たちのセリフと映像表現だけで物語が進行していく構成になっています。
高畑勲監督は、観客が自ら物語を感じ取れるような演出を意識しており、説明的なナレーションを入れることで作品の世界観を損なわないよう配慮したのです。
代わりに、キャラクターたちの会話や歌、そして圧倒的な映像美が物語を語る役割を担っています。
なぜナレーションがないのか?高畑監督の演出意図

観客の想像力を尊重する演出
高畑勲監督は『かぐや姫の物語』の制作にあたり、「ストーリーは変えずに印象が全く違う作品に」することを目指していました。
従来の『竹取物語』の映像化作品とは異なるアプローチとして、説明を最小限にして観客自身が感じ取る余白を残すという手法を選んだのです。
ナレーションで説明してしまうと、観客が自分で考える機会が失われてしまいますよね。
高畑監督は観客の想像力を信頼し、それを引き出すことに重きを置いたと言えます。
映像と音楽が語る物語
この作品では、久石譲が手がけた音楽が重要な役割を果たしています。
劇中歌「わらべ唄」をはじめとする音楽が、かぐや姫の心情や物語の流れを表現しているんですね。
また、独特の水彩画風の映像表現も、言葉で説明する以上に豊かな感情を伝えてくれます。
映像の動きや色彩の変化だけで、かぐや姫の喜びや悲しみが伝わってくるのが、この作品の大きな特徴です。
キャラクターの声が物語を紡ぐ
ナレーションの代わりに、登場人物たちの会話が物語を進めていきます。
翁役の地井武男さん(遺作となり、一部を三宅裕司さんが代役)、媼役の宮本信子さん、そしてかぐや姫役の朝倉あきさんなど、豪華キャストの自然な演技が作品に命を吹き込んでいます。
特に朝倉あきさんは約300人のオーディションから選ばれ、高畑監督が決め手としたのは「悔しさがこもった悲しみ方」でした。
このように、キャラクターの感情を丁寧に描くことで、ナレーションに頼らない物語の伝え方を実現しているのです。
「竹取物語」という原作の力
『竹取物語』は日本最古の物語として広く知られており、多くの人がストーリーの大筋を知っています。
そのため、細かい説明をしなくても観客がついてこられるという前提があったのかもしれません。
高畑監督は原作のストーリー自体は変えずに、解釈や見せ方を変えることで新しい作品を作り上げました。
観客が既に持っている知識を活かしながら、新たな発見を提供するという高度な演出手法ですね。
作品に対する反応と評価
映像表現への称賛
『かぐや姫の物語』の独特な映像スタイルは、公開当初から大きな話題となりました。
手描きの線を活かした水彩画風のアニメーションは、まるで絵巻物が動いているかのような美しさです。
SNSでは「ナレーションがなくても映像だけで十分に物語が伝わる」「言葉では表現できない感情が映像から溢れている」といった声が多く見られます。
この映像表現こそが、ナレーションに代わる「語り手」の役割を果たしていると言えるでしょう。
音楽と歌の重要性
久石譲による音楽も、作品を語る重要な要素です。
特に劇中でかぐや姫が歌う「わらべ唄」は、彼女の心の叫びとして深く印象に残りますよね。
「天人の音楽」として描かれるシーンでは、音楽そのものが物語の重要なメッセージを伝えています。
音楽が言葉以上に雄弁に、かぐや姫の感情や物語のテーマを表現しているのです。
朝倉あきさんの演技への評価
2025年12月に行われたイベントで、朝倉あきさんは収録当時を振り返り、「その答えに追いつこうと必死でした」と語っています。
高畑監督の探究心に応えようとする姿勢が、かぐや姫というキャラクターに深みを与えました。
オーディション後に号泣したというエピソードからも、この役にかける思いの強さが伝わってきますね。
観客からは「朝倉あきさんの声がかぐや姫そのもの」「セリフの一つ一つに感情がこもっている」という評価が多く寄せられています。
舞台化での新たな解釈
『かぐや姫の物語』は2022年に初めて舞台化され、橋本環奈さんと上白石萌音さんのダブルキャストで上演されました。
2024年には川栄李奈さんと福地桃子さん主演で再演され、全国5都市とロンドンで約30万人を動員する大成功を収めています。
さらに2025年には上海公演が成功し、2026年1月には韓国での上演も決定しています。
舞台という形式では、映画とは異なる「語り」の手法が用いられているかもしれませんが、映画版のナレーションなしという演出が、様々な解釈を生む余地を残したと言えるでしょう。
テレビ放送での再評価
『かぐや姫の物語』は2026年1月9日(金)21時から23時54分まで、金曜ロードショーでノーカット放送されます。
60分拡大の特別枠での放送となり、字幕解説も付く予定です。
直前の1月2日には『千と千尋の神隠し』が放送され、ジブリ作品2週連続となることも話題になっています。
テレビ放送を通じて、改めて作品の素晴らしさに気づく視聴者も多いでしょうね。
『かぐや姫の物語』ナレーションのまとめ
『かぐや姫の物語』には、独立したナレーションは存在しません。
高畑勲監督は、説明的なナレーションを排除し、映像・音楽・キャラクターの演技という三位一体の表現で物語を語ることを選びました。
この手法により、観客一人一人が作品から自由に感じ取ることができる、豊かな鑑賞体験が生まれています。
ナレーションがないからこそ、映像の美しさや音楽の力強さ、声優陣の繊細な演技が際立つのです。
それは高畑監督が観客の想像力と感受性を信頼していた証でもあります。
もう一度、作品を味わってみませんか
『かぐや姫の物語』のナレーションについて理解が深まったところで、ぜひもう一度作品を観てみてください。
ナレーションがないという事実を知った上で鑑賞すると、映像や音楽、キャラクターの表情や動きがいかに雄弁に物語を語っているかに気づけるはずです。
2026年1月9日の金曜ロードショーは、まさに絶好の機会ですよね。
家族や友人と一緒に観て、それぞれが感じたことを語り合うのも素敵な時間になるでしょう。
高畑勲監督が残してくれたこの傑作を、ぜひ心ゆくまで堪能してください。
きっと、言葉では表現しきれない何かが、あなたの心に深く響くはずです。