
スタジオジブリの名作『かぐや姫の物語』を観て、その美しい映像表現に心を奪われた方も多いのではないでしょうか。
高畑勲監督の遺作となったこの作品は、制作期間約8年、総製作費約50億円という大規模プロジェクトでした。
そんな大作を現場で支え続けたプロデューサーは一体誰だったのでしょうか。
この記事では、『かぐや姫の物語』のプロデューサーについて、制作の舞台裏や苦労話、そして現在の活動まで詳しくご紹介します。
映画の美しい映像の裏側にあった、知られざる人間ドラマを知ることで、作品をより深く理解できるはずです。
かぐや姫の物語のプロデューサーは西村義明氏

劇場アニメ『かぐや姫の物語』のプロデューサーは西村義明(にしむら よしあき)氏です。
当時スタジオジブリに所属していた若手プロデューサーで、高畑勲監督の最後の作品となった本作の制作を現場側から支えました。
作品のスタッフクレジットには「プロデューサー:西村義明」と明記されており、企画は鈴木敏夫氏、原案・監督は高畑勲氏という体制で制作されました。
2026年1月9日に日本テレビ系「金曜ロードショー」で放送された際も、改めてプロデューサーとして西村氏の名前が表記されています。
西村義明氏が『かぐや姫の物語』のプロデューサーを務めた理由

スタジオジブリでの位置づけと抜擢
西村義明氏は『かぐや姫の物語』公開当時、スタジオジブリ所属のプロデューサーでした。
鈴木敏夫氏は本作公開後、西村氏を自らの「後継者」と位置づけたとされています。
この大規模プロジェクトは、外注中心のスタッフ編成や資金集めなども含めた「実験」を意図した作品であり、その実務面の多くを西村氏が担いました。
制作期間8年という困難なプロジェクト
『かぐや姫の物語』は、アニメーション映画としては異例の長さとなる約8年もの制作期間を要しました。
総製作費も約50億円という大規模なプロジェクトで、その現場をマネジメントする責任は非常に重いものでした。
高畑勲監督の妥協を許さない姿勢と、制作スケジュールや予算との板挟みになりながら、西村氏はプロデューサーとして作品を完成へと導いたのです。
鈴木敏夫との関係性と後継者としての育成
鈴木敏夫氏は、西村義明氏を次世代のジブリを担うプロデューサーとして育成する意図を持っていたとされています。
『かぐや姫の物語』のプロデューサー就任は、そうした育成計画の一環だったと言えるでしょう。
実際、本作での経験は西村氏のキャリアにおいて重要な転機となり、その後のスタジオポノック設立へとつながっていきます。
制作現場で起きた出来事とプロデューサーの決断
「作品か、高畑さんか」という究極の選択
制作が難航した際、鈴木敏夫氏が西村氏に「作品か、高畑さんか」と問いかけたというエピソードが伝えられています。
西村氏は「作品の公開」を選んだことで、高畑監督解任案にまで話が及んだとされています。
これは、プロデューサーとして作品を世に送り出す責任と、巨匠監督への敬意との間で苦悩した証でしょう。
最終的には高畑監督が続投し、作品は完成を迎えましたが、この決断の重さはプロデューサーとしての西村氏を大きく成長させたと言えます。
ドキュメンタリーに記録された933日間の伝説
制作の舞台裏は、ドキュメンタリー番組「高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~」で詳細に記録されています。
この番組では、西村プロデューサーの苦労も映し出されており、制作現場のリアルな姿を知ることができます。
933日という具体的な数字が示すように、長期にわたる制作期間の中で、プロデューサーとして奔走し続けた西村氏の姿が記録されているのです。
外注中心の実験的なスタッフ編成
『かぐや姫の物語』は、ジブリ作品としては異例の外注中心のスタッフ編成を取りました。
これは、新しい制作体制を模索する「実験」でもあったのですが、そのマネジメントはプロデューサーにとって大きな挑戦でした。
社内スタッフだけでなく、外部のアニメーターやスタッフとの調整、スケジュール管理など、従来のジブリ作品とは異なる困難さがあったのです。
SNSやファンの間での評価と反響
高畑監督を支えたプロデューサーとしての評価
SNSでは、西村義明氏が高畑勲監督の最後の作品を支えたプロデューサーとして再評価されています。
「あの美しい映画の裏には、若手プロデューサーの苦労があったんだな」という声や、「西村さんがいなければ完成しなかったかもしれない」という意見も見られます。
特に2026年の金曜ロードショー放送時には、改めてプロデューサーの存在に注目が集まり、多くの視聴者が制作の舞台裏に興味を持ちました。
スタジオポノック設立後の再評価
西村義明氏は現在、スタジオポノックの代表として知られています。
『メアリと魔女の花』などの作品を世に送り出している西村氏ですが、ファンの間では「『かぐや姫の物語』のプロデューサーだった人」としての認識も強く残っています。
「あの大変なプロジェクトを経験したからこそ、今のスタジオポノックがあるんだろうな」という声もあり、キャリアの転機としての重要性が語られています。
制作費50億円という規模への驚き
総製作費約50億円という数字に、多くの人が驚きを示しています。
「そんなに予算がかかっていたなんて」「その規模のプロジェクトを若手プロデューサーが担当していたのはすごい」という反応が見られます。
この巨額の予算を管理し、作品を完成させた西村氏の手腕は、改めて評価されるべきものと言えるでしょう。
西村義明氏のその後のキャリアと現在
スタジオポノックの設立と代表就任
西村義明氏は『かぐや姫の物語』制作後、スタジオジブリを離れ、スタジオポノックを設立しました。
現在は同スタジオの代表として、新しいアニメーション作品の制作に取り組んでいます。
『かぐや姫の物語』での経験は、独立してスタジオを立ち上げる上での大きな糧となったことでしょう。
『メアリと魔女の花』などの作品群
スタジオポノック設立後、西村氏は『メアリと魔女の花』をはじめとする作品をプロデュースしています。
ジブリで培った経験を活かしながら、新しいスタジオならではの作品作りに挑戦しているのです。
『かぐや姫の物語』で経験した大規模プロジェクトのマネジメントスキルは、確実に現在の活動にも活かされていると言えます。
若手プロデューサーから業界のキーパーソンへ
『かぐや姫の物語』当時は若手プロデューサーだった西村氏も、今では日本アニメーション業界のキーパーソンの一人となっています。
鈴木敏夫氏の「後継者」として期待された通り、次世代のアニメーション制作を牽引する存在へと成長しました。
キャリア上の重要な転機として、『かぐや姫の物語』のプロデューサー経験が頻繁に言及されることからも、この作品が持つ意味の大きさが分かります。
作品のスタッフ体制と各役割
企画:鈴木敏夫
『かぐや姫の物語』の企画を担当したのは、スタジオジブリの名プロデューサーである鈴木敏夫氏です。
高畑勲監督の作品を世に送り出すという大きな決断をし、プロジェクト全体を統括する立場にいました。
西村義明氏を現場のプロデューサーとして抜擢したのも、鈴木氏の判断でした。
原案・監督:高畑勲
原案と監督を務めたのは、アニメーション界の巨匠・高畑勲氏です。
『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』などの名作を手がけた監督にとって、本作が最後の作品となりました。
妥協を許さない姿勢で作品の質を追求し続けた結果、制作期間は8年にも及びました。
製作:氏家齊一郎、製作名代:大久保好男
製作には氏家齊一郎氏が、製作名代には大久保好男氏が名を連ねています。
総製作費50億円という大規模プロジェクトを支える資金面や組織面での責任を担いました。
こうしたトップレベルの支援体制があったからこそ、長期にわたる制作が可能になったのです。
『かぐや姫の物語』という作品の意義
高畑勲監督の遺作としての価値
『かぐや姫の物語』は、2018年に亡くなった高畑勲監督の遺作となりました。
監督が生涯をかけて追求してきた表現が結実した作品として、アニメーション史に残る重要な作品です。
西村義明プロデューサーは、この偉大な監督の最後の作品を世に送り出すという、重大な責任を担ったのです。
水彩画のような独特の映像表現
本作の最大の特徴は、水彩画のような独特の映像表現です。
線の勢いやタッチを活かした作画は、従来のセルアニメーションとは一線を画すものでした。
この表現を実現するための技術開発やスタッフの育成も、プロデューサーとしての西村氏の重要な仕事の一つでした。
日本の古典文学を現代に蘇らせた意義
『竹取物語』という日本最古の物語を、現代のアニメーションで表現した本作は、文化的にも大きな意義があります。
古典文学の新しい解釈を提示し、若い世代にも親しみやすい形で伝えることに成功しました。
この文化的価値の高いプロジェクトを完遂させたことも、プロデューサーとしての西村氏の功績と言えるでしょう。
まとめ:かぐや姫の物語を支えたプロデューサーの功績
『かぐや姫の物語』のプロデューサーは西村義明氏です。
制作期間約8年、総製作費約50億円という大規模プロジェクトを、若手プロデューサーとして現場から支え続けました。
高畑勲監督の妥協を許さない姿勢と、制作スケジュールや予算との板挟みになりながらも、「作品の公開」を選択した決断力は、プロデューサーとしての西村氏の成長を物語っています。
鈴木敏夫氏から「後継者」と位置づけられた西村氏は、その後スタジオポノックを設立し、現在は代表として活躍しています。
『かぐや姫の物語』でのプロデューサー経験は、西村氏のキャリアにおいて最も重要な転機となり、今なお語り継がれる伝説的なプロジェクトとして記憶されているのです。
美しい映像の裏側には、こうした人間ドラマがあったことを知ると、作品をより深く味わえるのではないでしょうか。
もし『かぐや姫の物語』をまだ観ていない方は、ぜひプロデューサーの苦労や決断にも思いを馳せながら鑑賞してみてください。
すでに観た方も、ドキュメンタリー「高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~」を通して、制作の舞台裏を知ることで、新たな発見があるはずです。
西村義明プロデューサーが命を懸けて守り抜いた作品の価値を、改めて感じてみてくださいね。