
スタジオジブリの名作『かぐや姫の物語』の台本について知りたい方は多いのではないでしょうか。
高畑勲監督による繊細な演出と美しい映像表現が話題となったこの作品ですが、実際の撮影台本や脚本を読んでみたいと考える方も少なくありません。
劇中の台詞や構成、そして脚本成立の経緯など、制作の裏側を知ることで作品への理解がより深まりますよね。
この記事では、『かぐや姫の物語』の台本に関する情報を徹底的に調査し、入手可能な関連資料や脚本の特徴、制作背景まで詳しくお伝えします。
映画ファンの方や研究目的で台本を探している方にとって、役立つ情報が満載です。
結論:映画台本そのものは一般公開されていない

『かぐや姫の物語』の映画制作に使われた実際の台本(決定稿シナリオ)は、現時点で一般向けに公開・販売されていません。
しかし、脚本の内容にほぼ準拠したノベライズ版や、台詞をほぼ全て収録したシネマコミック版など、台本に代わる資料は複数出版されています。
これらの書籍を活用することで、実質的に台本の内容を追うことが可能です。
また、脚本の成立過程やコンセプトについては、メイキング系の書籍で詳しく解説されているため、研究目的の方にも十分な情報が得られます。
なぜ映画台本は一般公開されていないのか

映画業界における台本管理の実情
映画制作における台本(シナリオ)は、スタジオ内部の制作資料として扱われるのが一般的です。
特にスタジオジブリのような大手アニメーション制作会社では、台本は監督や制作スタッフの間で共有される内部文書であり、商業出版されるケースは極めて稀なんですね。
これは著作権管理や作品の機密保持という観点からも重要な慣習となっています。
『かぐや姫の物語』の脚本制作体制
本作の脚本は、原案・脚本・監督を高畑勲が務め、共同脚本として坂口理子が参加しています。
2013年11月23日に公開されたこの作品は、古典『竹取物語』を原作としながらも、高畑監督独自の解釈が色濃く反映された脚本となっています。
脚本制作の経緯を見ると、かなり複雑なプロセスを経ていることがわかります。
実は企画そのものは1959年の東映動画時代の幻の『竹取物語』企画にまでさかのぼります。
その後、2005年頃に鈴木敏夫プロデューサーの提案でジブリでの企画が再始動しました。
初期脚本は別の脚本家が担当し2009年2月に初稿が完成しましたが、高畑監督の意向と合わずボツになったという経緯があります。
その後、高畑監督自身が執筆を開始しましたが難航したため、坂口理子が参加して共同で練り直し、2009年10月に準備稿が完成したとされています。
台本そのものではなく派生書籍が出版される理由
映画台本をそのまま出版するのではなく、ノベライズやシネマコミックという形で出版されるのには理由があります。
台本は映像化を前提とした「設計図」であるため、ト書きやカメラワークの指示など、一般読者にとっては読みにくい要素が多く含まれています。
一方、ノベライズは物語として再構成されているため、映画の世界観をより深く味わえる形になっているんですね。
シネマコミックは実際の映像と台詞を組み合わせることで、視覚的にも楽しめる資料となっています。
台本に代わる資料:入手可能な書籍を紹介
角川文庫のノベライズ版
角川文庫から出版されている『かぐや姫の物語』のノベライズ版は、脚本の内容をほぼすべて物語として追える貴重な資料です。
表記は「脚本・ノベライズ 坂口理子」「原案・脚本 高畑勲」「原作『竹取物語』」となっており、坂口理子が映画脚本をベースに小説化しています。
台本そのものではありませんが、プロット・台詞・場面構成は映画脚本に準拠しつつ、地の文で心理描写や情景描写が補われているため、実質的に脚本の内容を文章で読める形になっています。
文春文庫版も刊行されており、「『竹取物語』を原作に、この世界に生を受けたひとりの女性のいのちの輝きを描く」「かぐや姫の犯した罪と、それに与えられた罰とは何だったのか」という映画と同じテーマ設定が強調されています。
文春ジブリ文庫のシネマコミック版
文春ジブリ文庫から出版されている『シネマ・コミック かぐや姫の物語』は、台詞を最も正確に収録した資料と言えます。
この書籍は、映画のカットに吹き出しで台詞を載せた形式になっているため、台詞は台本に極めて近い形で全文に近く収録されています。
ただし脚本のト書き(カメラ指示、俳優指示など)はほぼ載っていないため、「セリフ集に近い資料」という位置づけになります。
視覚的にも映画のシーンを追いながら台詞を確認できるため、作品の流れを把握しやすいのが大きなメリットですね。
『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』
文春ジブリ文庫から出版されている『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』は、脚本成立過程を知るうえで非常に貴重な資料です。
企画の変遷や構想メモなどを収録し、脚本がどのように作られていったのかを詳しく紹介しています。
「キャッチコピーは『姫の犯した罪と罰』」とされ、作品の主題設定や脚本上のコンセプトが丁寧に解説されているんですね。
実際の脚本本文が全文掲載されているわけではなく、抜粋・図版・インタビューが中心ですが、なぜこのような脚本になったのかという背景を理解するには最適な一冊です。
目的別の選び方まとめ
どの書籍を選ぶべきかは、あなたの目的によって異なります。
- シーンごとの台詞をそのまま近い形で参照したい → 文春ジブリ文庫『シネマ・コミック かぐや姫の物語』
- 構成・心理描写も含めて物語全体を文章で把握したい → 坂口理子によるノベライズ版『かぐや姫の物語』(角川文庫など)
- 研究・分析のために脚本成立過程やコンセプト、ボツ案を知りたい → 『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』などのメイキング・評論本
それぞれの資料が異なる角度から作品にアプローチできるため、複数を併読するとより深い理解が得られますよ。
脚本の特徴:原作『竹取物語』からの変更点
省略されたエピソード
映画の脚本では、原作『竹取物語』からいくつかのエピソードが省略されています。
原作では、かぐや姫と求婚者たちの文のやりとりが約3年にわたり描かれますが、映画ではこのやりとりの多くが省略されているんですね。
また、原作に登場する以下のような場面も映画脚本では採用されていません。
- 月からの迎えの際、翁の屋敷を兵で守らせる場面
- かぐや姫の形見の「不老不死の薬」を燃やす場面
これらの省略は、映画のテンポや尺を考慮した結果と考えられます。
脚本オリジナルの大きな特徴
一方で、高畑監督は「かぐや姫の犯した罪と罰」という独自の解釈を前面に出し、原作にはない要素を大きく追加しています。
特に印象的なのが、地上での成長期(野山での幼少時代)を大きく膨らませた構成です。
農村の四季の生活描写を新たに追加することで、かぐや姫が地上の生活に愛着を持つ過程が丁寧に描かれています。
この幼少期のエピソードは脚本オリジナルの大きな特徴であり、作品のテーマである「生きることの喜び」を表現する重要な要素となっています。
「罪と罰」というテーマ設定
映画の脚本における最大の特徴は、原作にはない「罪と罰」というテーマの明確化です。
かぐや姫がなぜ地上に降り、なぜ月に帰らなければならないのかという問いに対して、高畑監督は独自の解釈を与えました。
このテーマ設定により、単なるおとぎ話ではなく、人間の生と死、そして生きることの意味を問う深い物語へと昇華されているんですね。
SNSや専門家の評価
ファンの間で語られる脚本の評価
SNSでは、『かぐや姫の物語』の脚本について様々な意見が交わされています。
「幼少期の描写が丁寧で、かぐや姫の心情が深く理解できた」という声が多く見られます。
また、「原作にはない『罪と罰』というテーマ設定が作品に深みを与えている」という評価も少なくありません。
一方で、「原作の重要なエピソードが省かれているのが残念」という意見もあり、原作ファンの間では賛否両論となっているようです。
映画評論家による脚本分析
専門家からは、高畑監督の脚本構成力が高く評価されています。
特に、幼少期のエピソードを膨らませることで、かぐや姫の「地上への愛着」と「月への帰還」という相反する感情の対比が鮮明になったとされています。
また、台詞の選び方や間の取り方など、アニメーション特有の表現を活かした脚本作りが評価されているんですね。
「実写映画とは異なる、アニメーションならではの脚本の可能性を示した作品」という分析もあります。
ノベライズ読者からの反応
ノベライズ版を読んだ読者からは、「映画では気づかなかった細かい心理描写が理解できた」という感想が多く寄せられています。
地の文で補われた情景描写や心情描写により、映画とはまた違った楽しみ方ができるという声もありますね。
「シネマコミックと併読することで、台詞と心情の両面から作品を深く理解できた」という意見もあり、複数の資料を組み合わせて読むことの有効性が示されています。
まとめ
『かぐや姫の物語』の映画台本そのものは一般には公開されていませんが、脚本の内容を知るための資料は複数出版されています。
台詞を正確に知りたい方には文春ジブリ文庫の『シネマ・コミック かぐや姫の物語』が、物語全体を文章で味わいたい方には角川文庫などのノベライズ版が最適です。
また、脚本成立の背景やコンセプトを深く知りたい方には、『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』などのメイキング系書籍がおすすめですね。
原作『竹取物語』から大きくアレンジされた脚本は、「かぐや姫の犯した罪と罰」という独自のテーマを軸に、幼少期の生活描写を丁寧に描くことで、生きることの意味を問う深い作品となっています。
研究目的で原本レベルの台本を見たい場合は、スタジオジブリや関連アーカイブへの照会が必要になる可能性がありますが、一般的な鑑賞や研究であれば、これらの出版物で十分に脚本の内容を把握することができます。
あなたも作品の世界をより深く味わってみませんか
『かぐや姫の物語』の魅力は、何度見ても新しい発見があることです。
映画を観るだけでなく、ノベライズやシネマコミックを手に取ることで、監督が込めたメッセージや細かい演出の意図がより明確に見えてくるはずです。
まずは気になった一冊を手に取ってみてください。
台詞の一つひとつ、シーンの一つひとつに込められた意味を発見する喜びは、映画鑑賞とはまた違った楽しさがありますよ。
書店や図書館で探してみるのもいいですし、オンライン書店なら在庫状況もすぐに確認できます。
あなたの『かぐや姫の物語』への理解が、より豊かなものになることを願っています。