
『竹取物語』、つまり「かぐや姫の物語」を読んでいると、次々と登場する求婚者たちの中に「大納言」という人物が出てきますよね。
この大納言は一体どんな人物で、かぐや姫からどんな難題を課されたのでしょうか?
そして、なぜ彼は失敗してしまったのか、物語の中でどんな役割を担っているのか、気になる方も多いはずです。
この記事では、大納言大伴御行(おおとものみゆき)という名前の求婚者について、課された難題の内容、彼の行動と失敗のエピソード、さらには物語全体における意味まで、詳しく解説していきます。
五人の求婚者の中でも特に印象的な失敗を遂げた大納言の物語を、一緒に見ていきましょう。
結論:大納言は龍の首の玉を求められた求婚者

『かぐや姫の物語(竹取物語)』に登場する大納言とは、大納言大伴御行(おおとものみゆき)という名前の貴族です。
彼はかぐや姫に求婚した五人の貴族のうちの一人で、四番目の求婚者として物語に登場します。
かぐや姫から課された難題は、「龍の首についている、五色に光る玉」を持ってくることでした。
この宝は実在しない架空のものであり、絶対に手に入れることができない「不可能な難題」として設定されています。
大納言は家臣に命じて龍を探させようとしますが、家臣たちは駄賃だけ受け取って姿を消し、誰一人として出航しませんでした。
最終的に大納言自身も龍の首の玉を手に入れることはできず、難題は失敗に終わります。
彼は五人の求婚者の中でも、行動力はあるが結果を出せず、家臣にも裏切られるという「中途半端な権力者」として描かれているのです。
なぜ大納言は龍の首の玉という難題を課されたのか

かぐや姫が求婚を断るための手段
かぐや姫は、地上の人間として生きることを望まない存在でした。
そのため、次々と押し寄せる貴族たちの求婚を断る必要がありましたが、直接的に断ることは当時の社会では困難でした。
そこで彼女が選んだ方法が、「到底不可能な難題を課すこと」だったのです。
五人の求婚者それぞれに異なる宝物を要求し、実質的に求婚を諦めさせようとしました。
大納言に課された「龍の首の玉」も、その一つだったわけですね。
龍の首の玉とは何か
「龍の首の玉」とは、龍の首についている五色に光る玉のことです。
この宝物は、実際には存在しない架空のものとされています。
龍自体が伝説上の生き物であり、その首に光る玉がついているという設定も、完全に空想の産物でした。
つまり、かぐや姫は最初から手に入れることが不可能な宝物を要求することで、大納言の求婚を断ろうとしたのです。
五人それぞれに異なる難題が設定された理由
かぐや姫は五人の求婚者それぞれに、以下のような難題を課しました。
- 石作皇子:仏の御石の鉢
- 車持皇子:蓬莱の玉の枝
- 右大臣阿倍御主人:火鼠の皮衣
- 大納言大伴御行:龍の首の玉
- 中納言石上麻呂足:燕の子安貝
これらはすべて、実在しないか、入手が極めて困難な宝物ばかりです。
かぐや姫は、それぞれの求婚者の性格や立場に応じて、異なる難題を設定したとも考えられています。
大納言には「龍」という危険で神秘的な生き物に関わる難題を課すことで、彼の野心や実行力を試そうとしたのかもしれませんね。
大納言大伴御行の行動と失敗のエピソード
まずは現実的な準備から始めた大納言
大納言大伴御行は、他の求婚者と比べても行動力のある人物として描かれています。
彼はかぐや姫を迎えるために、新しい家を造営し、屋根を五色の糸で飾り、室内を華麗に整えるなど、具体的な準備を進めました。
この行動からは、彼が本気でかぐや姫との結婚を望んでいたことが伝わってきますよね。
ただし、肝心の「龍の首の玉」を手に入れることについては、最初から自分で動くのではなく、家臣に命じるという方法を選びました。
家臣たちの裏切り
大納言は家臣たちに「龍を探しに行け」と命じ、駄賃(報酬)を渡しました。
しかし、家臣たちは駄賃だけ受け取って姿を消し、誰一人として出航していなかったのです。
これは大納言にとって大きな裏切りでした。
大納言が自ら難波の浜まで確かめに行っても、船出の形跡すらなかったと物語には描かれています。
身分の高い貴族であっても、家臣の忠誠を得られない、あるいは無謀な命令には従ってもらえないという現実を示すエピソードですね。
自ら海へ漕ぎ出すも失敗
家臣に裏切られた大納言は、やむなく自分で龍を探しに海へ漕ぎ出そうとします。
しかし、龍という伝説上の生き物を見つけることはできず、龍の首の玉を手に入れることはできませんでした。
結局、難題は失敗に終わり、かぐや姫のために造った豪華な家も不要となり、やがて荒廃したとされています。
大納言の努力は報われず、彼は失意のうちに物語から退場していくのです。
かぐや姫への恨み
難題に失敗した大納言は、自身に起こった不幸をかぐや姫への恨みとしてぶつける人物として描かれています。
これは、同じ求婚者である中納言石上麻呂足が失敗後も比較的冷静だったのとは対照的です。
大納言は、家臣に裏切られ、自らも危険な目に遭い、結局何も得られなかったことで、深い恨みを抱いたのでしょう。
この描写からは、彼の人間性や倫理性の欠如が見て取れますね。
物語における大納言の意味と解釈
貴族社会への風刺
『竹取物語』に登場する五人の求婚者は、いずれも高位の貴族です。
皇子、右大臣、大納言、中納言といった当時の権力者たちが、次々と失敗していく様子は、貴族社会や権力への風刺として読み解くことができます。
大納言大伴御行は、その中でも「身分は高いが実行力や倫理性に乏しい貴族」の象徴として描かれています。
彼は既婚でありながら、さらにかぐや姫を妻にしようとしたとする研究もあり、当時の貴族の欲望や欺瞞を表現しているとも言えるでしょう。
中途半端な権力者の象徴
五人の求婚者の中で、大納言は身分的には高いものの、皇子や右大臣より一段低い位置にいます。
彼は行動力はあるが結果を出せず、家臣にも裏切られるという「中途半端な権力者」として描かれています。
これは、肩書きだけ立派でも、実際の力や人望がなければ何も成し遂げられないという教訓を示しているのかもしれません。
物語上のコントラストを担う重要な役割を果たしているわけですね。
五人の求婚者の中での位置づけ
五人の求婚者は、それぞれ異なる方法で失敗していきます。
石作皇子は偽物の鉢を持ってきて恥をかき、車持皇子も偽の玉の枝を作らせて発覚します。
右大臣阿倍御主人は本物の火鼠の皮衣を探そうとして失敗し、中納言石上麻呂足は燕の巣から子安貝を取ろうとして怪我をします。
そして大納言大伴御行は、家臣に裏切られ、自らも龍を見つけられずに失敗するのです。
この中で大納言は、「権力だけでは人は動かせない」「無謀な挑戦は失敗する」という教訓を体現する存在として位置づけられていますね。
史実の大伴氏との関係
物語に登場する「大納言大伴御行」という名前は、実在した大伴氏をモデルにしている可能性があります。
大伴氏は古代日本の有力氏族の一つで、軍事や政治の面で重要な役割を果たしました。
ただし、『竹取物語』の大納言大伴御行が実在の人物そのものを指すのか、それとも氏族全体を象徴する架空の人物なのかは、研究者の間でも意見が分かれています。
いずれにせよ、名門の氏族であっても完璧ではないというメッセージが込められているのでしょう。
SNSやファンの間での大納言の評価
「家臣に裏切られる大納言が哀れ」という声
SNSやファンの間では、「家臣に裏切られる大納言が哀れだ」という意見もあります。
確かに、駄賃を渡したのに誰も出航しなかったというエピソードは、読者に同情を誘う部分もありますよね。
ただし、無謀な命令を出した大納言自身にも責任があるという見方もあります。
「龍を探せ」という命令があまりにも非現実的だったため、家臣たちも従う気になれなかったのかもしれません。
「大納言は他の求婚者より現実的」という評価
一方で、「大納言は他の求婚者よりも現実的だった」という評価もあります。
新居を造営し、かぐや姫を迎える準備を整えるなど、具体的な行動を取っていたからです。
石作皇子や車持皇子のように偽物を用意するのではなく、本物を手に入れようとした姿勢は評価できるという声もありますね。
ただし、結果として失敗したことに変わりはなく、「準備だけ万端でも肝心の目標が達成できなければ意味がない」という教訓を示しています。
「大納言の失敗が一番印象に残る」というファンの声
五人の求婚者の中でも、大納言の失敗エピソードが一番印象に残るというファンは少なくありません。
家臣に裏切られるという展開が、他の求婚者の失敗とは異なる「人間関係の破綻」を描いているからです。
偽物を作って失敗する求婚者や、怪我をして失敗する求婚者とは違い、信頼していた部下に裏切られるという経験は、読者の心に強く響くのでしょう。
物語を読んだ人の中には、「大納言が一番気の毒だった」と感じる人もいるかもしれませんね。
まとめ:大納言は龍の首の玉を求められた求婚者
『かぐや姫の物語(竹取物語)』に登場する大納言とは、大納言大伴御行という名前の貴族で、かぐや姫に求婚した五人のうちの一人です。
彼に課された難題は「龍の首の玉」、つまり龍の首についている五色に光る玉を持ってくることでした。
しかし、この宝は実在しない架空のものであり、最初から手に入れることは不可能だったのです。
大納言は家臣に命じて龍を探させようとしましたが、家臣たちは駄賃だけ受け取って姿を消し、誰も出航しませんでした。
やむなく自ら海へ漕ぎ出そうとしますが、結局龍の首の玉を手に入れることはできず、難題は失敗に終わります。
大納言は、行動力はあるが結果を出せず、家臣にも裏切られる「中途半端な権力者」として描かれています。
彼の失敗は、身分や肩書きだけでは人は動かせない、無謀な挑戦は失敗するという教訓を私たちに伝えているのです。
『竹取物語』は、ただのおとぎ話ではなく、当時の貴族社会への風刺や、人間の欲望、権力の限界を描いた奥深い作品です。
大納言大伴御行というキャラクターを通して、物語の作者が何を伝えようとしたのか、改めて考えてみるのも面白いかもしれませんね。
ぜひ原文や現代語訳を読み返して、大納言のエピソードをじっくり味わってみてください。
きっと新しい発見があるはずですよ。