かぐや姫の物語の歌の意味は?

かぐや姫の物語の歌の意味は?

スタジオジブリの『かぐや姫の物語』を観た後、あの印象的な歌が心に残っている方は多いのではないでしょうか。

特に子どもたちが歌うわらべ唄や、エンディングで流れる「いのちの記憶」には、どこか切なさと温かさが同居していて、物語のテーマと深く結びついているように感じられますよね。

実は、この作品に登場する歌には、高畑勲監督が込めた重層的な意味が隠されているんです。

この記事では、『かぐや姫の物語』に登場する歌の意味を、わらべ唄、天女の歌、主題歌「いのちの記憶」の3つに分けて詳しく解説していきます。

歌の意味を知ることで、作品の奥深さがより一層理解できるはずですよ。

かぐや姫の物語の歌の意味

かぐや姫の物語の歌の意味

『かぐや姫の物語』に登場する歌は、大きく分けて3種類あります。

それぞれの歌は、かぐや姫の人生における自由と束縛、記憶と忘却、そして生きることの意味を象徴しています。

山里で子どもたちが歌うわらべ唄は、かぐや姫の自由で幸せだった幼少期を表し、この歌が実は月の世界と地上をつなぐ「記憶の糸」であったことが物語の中で明かされます。

そして主題歌「いのちの記憶」は、たとえ記憶が消えても生きた時間の手応えは魂に刻まれるという、作品全体のテーマを歌い上げているんですね。

山里のわらべ唄が象徴する自由と幸せ

山里のわらべ唄が象徴する自由と幸せ

無垢な子ども時代の象徴

物語の前半で、山里の子どもたちが歌うわらべ唄は、かぐや姫にとって最も幸せだった時期を象徴する歌です。

鳥、虫、獣、草木、花といった自然のモチーフが歌詞に織り込まれていて、自然と一体となって生きる喜びが表現されているんですね。

この歌を歌いながら、かぐや姫は捨丸たちと野山を駆け回り、何の制約もなく自由に生きていました。

都での生活と対比すると、この山里での日々がいかに純粋で幸せだったかが際立ちます。

「せんぐり」という言葉の意味

歌詞に出てくる「せんぐり」という言葉は、京ことばで「次々に・順番に・順繰り」という意味があります。

命や出来事が巡り続けるイメージを帯びている言葉で、輪廻転生のテーマとも深く結びついているんです。

この言葉が歌に含まれていることで、単なる子どもの遊び歌以上の深い意味が込められていることが分かりますね。

自然の真実と都の虚飾の対比

興味深いことに、このわらべ唄の歌詞は、のちに求婚者たちがかぐや姫に課される「難題の宝物」に対応しているとされています。

つまり、自然の中にある本物の美しさと、都の貴族たちが求める人工的な宝物という真実と虚飾の対比が、この歌を通じて表現されているんですね。

かぐや姫が本当に大切にしていたのは、宝石や高価な品ではなく、山里の自然や友達との時間だったということが、この歌から伝わってきます。

天女の歌としての二重構造

月の世界からの記憶

物語が進むにつれて、山里のわらべ唄には驚くべき由来があることが明らかになります。

実はこの歌は、月の都で天女が歌っていた歌の原型だったんです。

かぐや姫は月にいた頃、地上から戻ってきた天女がこの歌を涙ながらに口ずさむのを聞いていました。

月の世界では、羽衣をまとうことで地上での記憶や感情を失うはずなのに、その天女は歌うたびに涙を流していたというのです。

矛盾が生んだ憧れ

この矛盾こそが、かぐや姫の運命を変えるきっかけになりました。

心を持たないはずの存在がなぜ涙を流すのかという疑問が、かぐや姫の心に地上への憧れを植え付けたんですね。

月の世界は苦しみのない完璧な場所とされていましたが、その完璧さゆえに何かが欠けている。

歌に染みついた「悲しみ・悩み」に魅了されたかぐや姫は、煩悩に満ちた穢れた地上に行きたいと願ってしまうのです。

罪としての転生

月の世界では、涅槃という苦しみのない境地を捨てて、煩悩にまみれた地上を望むことは罪とされています。

かぐや姫は、その罪によって地上へ送られることになりました。

つまり、この物語全体が、一つの歌から始まった因果なんですね。

歌は単なるBGMではなく、かぐや姫の前世と現世、月と地上をつなぐ「記憶の糸」として機能しているのです。

主題歌「いのちの記憶」に込められたメッセージ

二階堂和美による作詞・作曲

エンディングで流れる「いのちの記憶」は、歌手の二階堂和美さんが作詞・作曲・歌唱を担当しています。

この曲は、映画全体のテーマを言葉にした歌として、高畑勲監督の意図を受けて制作されました。

「深く深く このからだの端々に しみ込んでゆく」という歌詞が象徴的ですね。

消えない記憶の意味

「なにもわからなくなっても」「このいのちが終わる時が来ても」という歌詞には、深い意味が込められています。

たとえ記憶が消えてしまっても、生きた時間の手触りや感情は存在の奥深くに残るというメッセージなんです。

物語の終盤でかぐや姫が「生きている手応えがあれば、きっと幸せになれた」と言う場面がありますが、この曲はその台詞と深く響き合っています。

苦しみごと引き受ける生き方

二階堂和美さん自身がインタビューで語っているところによると、「この世はうまくいかないもの」という高畑監督の視点を受け止めつつ、それでもこの世界にとどまり、煩悩を抱えて生きていくことへの共感を込めたそうです。

完璧な月の世界よりも、不完全だけれど「生きている手応え」がある地上を肯定する歌なんですね。

この曲を聴くと、かぐや姫が本当は地上で生きたかったという切ない想いが伝わってきます。

歌が表現する作品の深いテーマ

記憶と忘却の物語

『かぐや姫の物語』において、歌は記憶を象徴する重要なモチーフです。

月と地上、前世と現世、幼少期と大人の自我をつなぐ「記憶の糸」として、物語全体を貫いています。

かぐや姫は最後に月へ帰る時、地上での記憶をすべて失ってしまいますが、歌だけは形を変えて残り続けるのです。

自由と束縛という二項対立

山里のわらべ唄は自由で無垢な生活を表し、都での生活は作法や階級による束縛を表しています。

かぐや姫は都で女性としての教育を受け、眉を抜いたりお歯黒をつけたりすることを強いられました。

これらは当時の貴族社会の美の基準でしたが、かぐや姫にとっては自然な自分を失わせる束縛だったんですね。

わらべ唄を口ずさむたびに、彼女は失ってしまった自由を思い出していたのです。

仏教的世界観の可視化

作品全体には、仏教的・浄土信仰的なテーマが色濃く反映されています。

月は死者の国や極楽浄土、苦しみのない世界を象徴し、地上は穢れと煩悩に満ちた世界を表しています。

しかし高畑監督は、苦しみのない完璧な世界よりも、煩悩があっても「生きている手応え」がある世界の方が価値があるという視点を提示しました。

歌は、その間で揺れるかぐや姫の魂の願いと矛盾を表現する装置になっているんですね。

SNSや批評で語られる歌の解釈

観客が感じた歌の切なさ

『かぐや姫の物語』を観た多くの人が、SNSで歌の印象について語っています。

特に多いのが、「わらべ唄を聴くたびに涙が出る」「あの歌が頭から離れない」といった感想です。

単純なメロディーなのに、なぜか心の奥深くに響いてくるという声が目立ちますね。

これは、歌が単なるBGMではなく、かぐや姫の魂の叫びそのものだからなのかもしれません。

「いのちの記憶」の歌詞への共感

主題歌「いのちの記憶」については、「歌詞が深すぎる」「何度聴いても泣ける」という反応が多く見られます。

特に大人になってから改めて聴くと、生きることの意味や記憶の尊さについての歌詞が心に刺さるという声が多いですね。

「なにもわからなくなっても」という部分が、認知症や老いについても連想させるという解釈もあります。

批評家による分析

映画批評や考察記事では、公開当時から現在に至るまで、「歌と記憶」を作品理解の中心モチーフとして扱う論考が継続的に発表されています。

特に注目されているのが、わらべ唄の歌詞と難題の宝物の対応関係です。

自然の中にある本物の美しさ(鳥、虫、花など)と、人工的な宝物(蓬萊の玉の枝、火鼠の皮衣など)の対比が、高畑監督の価値観を明確に示しているという分析が多いですね。

まとめ:歌に込められた人生への眼差し

『かぐや姫の物語』に登場する歌は、それぞれに深い意味を持っています。

山里のわらべ唄は、かぐや姫の自由で幸せだった子ども時代と、自然の中で生きる喜びを象徴しています。

そしてこの歌が実は天女の歌でもあったという二重構造によって、月と地上、前世と現世をつなぐ記憶の糸として機能しているんですね。

主題歌「いのちの記憶」は、たとえ記憶が消えても生きた時間の手応えは魂に刻まれるというメッセージを歌い上げています。

これらの歌を通じて、高畑勲監督は、苦しみや煩悩があっても「生きている手応え」がある人生の尊さを表現しているのです。

完璧だけれど何も感じない世界よりも、不完全でも喜びや悲しみを感じられる世界の方が価値があるという、深い人生への眼差しが込められているんですね。

歌の意味を知って、もう一度作品を観てみませんか

『かぐや姫の物語』の歌の意味を知った今、もう一度この作品を観てみると、きっと新しい発見があるはずです。

わらべ唄が流れる場面で、かぐや姫がどんな表情をしているか注目してみてください。

子どもの頃の無邪気な笑顔と、都での生活で思い出す時の切ない表情の違いが、より深く心に響いてくるでしょう。

そしてエンディングの「いのちの記憶」を聴きながら、かぐや姫が本当は何を望んでいたのか、もう一度考えてみてください。

歌の意味を理解することで、この作品がただの昔話ではなく、私たちの生き方そのものを問いかける物語だということが分かるはずです。

音楽と映像が一体となって紡ぎ出す『かぐや姫の物語』の世界を、ぜひもう一度体験してみてくださいね。

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