
スタジオジブリの高畑勲監督が手がけた『かぐや姫の物語』は、その美しい映像表現で多くの人々を魅了しました。
この作品の映像美を支えたのが、綿密に描かれた絵コンテです。
「かぐや姫の物語の絵コンテってどんなものなんだろう?」「どうやって作られたの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、高畑監督とスタッフたちが約5年をかけて完成させた絵コンテの制作過程や、出版された絵コンテ集の内容について詳しくご紹介します。
アニメーション制作の舞台裏を知ることで、作品への理解がさらに深まりますよ。
かぐや姫の物語の絵コンテは高畑勲監督らが5年かけて完成させた制作の設計図

『かぐや姫の物語』の絵コンテは、高畑勲監督とアニメーター田辺修らによって作成され、約5年の歳月をかけて完成した作品です。
この絵コンテは「スタジオジブリ絵コンテ全集20」として出版されており、890ページにも及ぶ大型資料集となっています。
絵コンテには、カメラワークや演出指示、セリフなど映画製作に必要な情報が網羅されており、映画の完成形を示す設計図としての役割を果たしました。
2008年12月から制作が始まり、2013年3月23日に完成するまで、何度も修正を重ねながら丁寧に作り上げられたのです。
絵コンテ制作が長期化した理由と制作過程

2008年から2013年まで続いた制作期間
『かぐや姫の物語』の絵コンテ制作は、2008年12月に田辺修によって開始されました。
当初の予定では、もっと早く完成するはずでしたが、高畑監督のこだわりと制作の困難さから、完成まで5年以上の時間を要することになりました。
絵コンテの完成は2013年3月23日で、これによって映画の公開日も当初の予定から延期されることとなりました。
最終的に映画は2013年11月23日に公開されましたが、これは絵コンテの完成が大幅に遅れたことが一因とされています。
制作の遅延が生じた背景
2012年末時点では、まだ約300カット分、全体の約4分の1が未完成という状態でした。
この遅延には、高畑監督の妥協を許さない姿勢が大きく関係しています。
高畑監督は、一つ一つのシーンに対して何度も修正を重ね、最高の表現を追求し続けました。
そのため、絵コンテの制作には想定以上の時間がかかってしまったのです。
プレスコと並行した絵コンテ作業
2011年8月から9月にかけて、最初のプレスコ(声優による先行録音)が実施されました。
プレスコとは、映像を作る前に先に声優の演技を録音する手法のことです。
絵コンテの進捗を改善するために、田辺以外のスタッフによってラフコンテの作成も行われるなど、複数の人員を投入して制作が進められました。
このように、様々な工夫を凝らしながら、少しずつ絵コンテが完成に近づいていったのですね。
高畑勲監督のこだわりが生んだ質の高さ
制作期間が長期化した理由の一つに、高畑監督の徹底したこだわりがあります。
高畑監督は、キャラクターの表情一つ、背景の描写一つにも妥協を許さず、何度も描き直しを指示しました。
このこだわりが、最終的に作品の圧倒的な映像美として結実しました。
絵コンテの段階から完成度を追求したからこそ、あの独特な水彩画のようなタッチが実現できたのです。
出版された絵コンテ集の内容と魅力
890ページの大型資料集
出版された「スタジオジブリ絵コンテ全集20 かぐや姫の物語」は、A5判箱入りで890ページという大ボリュームの資料集です。
高畑監督とスタジオジブリのアニメーター陣による絵コンテが完全収録されており、映画製作の全工程を追体験できる貴重な一冊となっています。
箱入りの装丁で、保存性にも配慮された仕様になっていますね。
絵コンテと本編の違いがわかる資料編
巻末には、絵コンテと本編の違いなどを解説した資料編も収録されています。
この資料編では、絵コンテの段階で構想されていたシーンが、最終的にどのように変更されたのかが詳しく説明されています。
制作過程での試行錯誤や判断の理由を知ることができるため、映画制作の舞台裏に興味がある方にとっては必見の内容です。
カメラワークと演出指示の詳細
絵コンテ集には、カメラワークや演出指示、セリフなど、映画製作に必要な情報が網羅されています。
例えば、どのアングルからキャラクターを撮影するのか、カメラはどう動くのか、といった具体的な指示が書き込まれています。
これらの情報を見ることで、高畑監督がどのように映像を設計していたのかが手に取るようにわかります。
アニメーション制作を学びたい方にとっては、最高の教材と言えるでしょう。
高畑監督の直筆による書き込み
絵コンテには、高畑監督自身による直筆の書き込みも多数残されています。
演出意図や、スタッフへの指示、キャラクターの感情表現についての細かいメモなど、監督の思考がダイレクトに伝わってきます。
こうした生の資料を見ることで、高畑監督の映画作りに対する姿勢や情熱を感じ取ることができるのです。
絵コンテから見える高畑勲監督の演出哲学
独特のタッチを生み出すための設計
『かぐや姫の物語』の最大の特徴は、水彩画のような柔らかいタッチの映像表現です。
この独特な表現は、絵コンテの段階から綿密に計画されていました。
高畑監督は、絵コンテの中で線の強弱や色彩のイメージを細かく指示し、アニメーターたちと共有していました。
結果として、従来のアニメーションとは一線を画す、芸術性の高い映像が誕生したのです。
感情表現を重視した演出指示
高畑監督の絵コンテには、キャラクターの感情表現に関する詳細な指示が多く見られます。
単に「悲しそうな表情」ではなく、「どのような悲しみなのか」「その感情がどこから来ているのか」まで考え抜かれています。
こうした細かな演出指示があったからこそ、かぐや姫の複雑な心情が観客に伝わる映像が実現できたのですね。
日本の伝統美を映像化する試み
『かぐや姫の物語』は、日本の古典文学『竹取物語』を原作としています。
高畑監督は、絵コンテの段階から、日本の伝統的な美意識を映像に落とし込むことを意識していました。
余白の美、季節の移ろい、自然との調和といった要素が、絵コンテの中に緻密に設計されています。
こうした日本的な美学が、作品全体に深みを与えているのです。
ファンやクリエイターから見た絵コンテ集の価値
アニメーション制作の教科書として
『かぐや姫の物語』の絵コンテ集は、アニメーション制作を学ぶ人々にとって貴重な教材となっています。
プロのクリエイターたちも、この絵コンテ集から多くのことを学んでいるとされています。
特に、演出の組み立て方、カメラワークの設計、感情表現の方法など、実践的な技術が詰まっている点が高く評価されています。
アニメーション業界を目指す学生たちの間でも、必読書として知られているそうですよ。
作品理解を深めるための資料として
一般のファンにとっても、絵コンテ集は作品理解を深めるための貴重な資料です。
映画を観ただけではわからなかった演出意図や、シーンに込められた意味が、絵コンテを見ることで明らかになります。
SNSでは、「絵コンテ集を読んで、映画をもう一度観たら、全く違う視点で楽しめた」という声も多く見られます。
作品をより深く味わいたい方にとって、必携の一冊と言えるでしょう。
高畑勲監督の遺産としての価値
『かぐや姫の物語』は、高畑勲監督の遺作となりました。
そのため、この絵コンテ集は、高畑監督の映画作りの集大成を伝える貴重な資料としての意味も持っています。
監督の思考プロセスや、作品に対する情熱が、絵コンテという形で永遠に残されたのです。
ファンにとっては、高畑監督を偲ぶ大切な記念品にもなっていますね。
コレクターズアイテムとしての人気
スタジオジブリの絵コンテ全集シリーズは、コレクターズアイテムとしても人気があります。
特に『かぐや姫の物語』の絵コンテ集は、制作期間の長さや作品の完成度の高さから、シリーズの中でも注目度が高い一冊です。
箱入りの豪華な装丁や、890ページという大ボリュームも、所有する喜びを高めてくれます。
ジブリファンの間では、書棚に並べておきたい特別な一冊として認識されています。
まとめ:絵コンテは映画の魂を伝える貴重な記録
『かぐや姫の物語』の絵コンテは、高畑勲監督とスタッフたちが5年以上の歳月をかけて作り上げた、映画制作の設計図です。
2008年12月から始まった制作は、監督の妥協を許さないこだわりにより、2013年3月23日まで続きました。
出版された絵コンテ集は890ページの大型資料集で、カメラワークや演出指示、セリフなど、映画製作に必要なすべての情報が収録されています。
巻末の資料編では、絵コンテと本編の違いも解説されており、制作過程の試行錯誤を知ることができます。
この絵コンテ集は、アニメーション制作を学ぶ人々の教科書として、また作品理解を深めたいファンにとっての必読書として、高い価値を持っています。
高畑監督の演出哲学や映画作りへの情熱が詰まった、まさに映画の魂を伝える貴重な記録なのです。
絵コンテ集で作品の新たな魅力を発見しませんか
『かぐや姫の物語』の絵コンテ集を手に取ることで、あなたはこの美しい作品をさらに深く理解できるようになります。
映画を観て感動した方なら、絵コンテを見ることで、その感動の理由が明確になるはずです。
高畑監督がどのような思いでシーンを組み立てたのか、どんな演出意図があったのかを知ることで、作品への愛着がより一層深まりますよ。
アニメーション制作に興味がある方なら、プロの技術を学ぶ絶好の機会になるでしょう。
また、ジブリファンとして作品を大切にしたい方にとっては、書棚に並べておきたい特別な一冊になります。
890ページという大ボリュームですが、ページをめくるたびに新しい発見があり、何度読んでも飽きることがありません。
高畑勲監督の遺作となった『かぐや姫の物語』の絵コンテ集を、ぜひ一度手に取ってみてください。
そこには、映画を観ただけでは気づけなかった、作品の新たな魅力が詰まっていますよ。