
ジブリ映画の中でも独特の存在感を放つ「かぐや姫の物語」。
この作品について、ラッパーで映画評論家としても知られるライムスター宇多丸さんが、ラジオ番組で熱く語ったことをご存知でしょうか。
普段からシビアな評価で知られる宇多丸さんが、どのような点に注目し、なぜこの作品を激賞したのか。
高畑勲監督が込めたテーマと、宇多丸さんならではの視点を交えながら、この名作が持つ深い魅力を紐解いていきます。
作品の基本情報から、宇多丸さんの評論のポイント、そして観た人々の反応まで、徹底的に解説していきますね。
宇多丸さんは「かぐや姫の物語」を激賞している

ライムスター宇多丸さんは、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の映画評コーナー「ムービーウォッチメン」で、「かぐや姫の物語」を強く激賞しています。
宇多丸さんは作品に「隠されたテーマ」があるとして、それを掘り下げて高く評価しました。
高畑勲作品のファンとして知られる宇多丸さんは、この作品を監督の代表作級の一本として位置づけており、表現的挑戦と深いテーマ性の両面から称賛しています。
特に、人間世界と月の世界という対照的な価値観の描き方や、生きることの意味を問う構造を評価しているとされていますね。
なぜ宇多丸さんは「かぐや姫の物語」を激賞したのか

高畑勲監督の表現的挑戦への評価
宇多丸さんが激賞した理由の一つは、高畑勲監督の映像表現への挑戦にあります。
「かぐや姫の物語」は、全編を通して絵巻物や絵本のような手描き風タッチで描かれています。
この日本の伝統的な絵画表現をアニメーションに昇華した試みは、日本のアニメーション技法の一つの極致とされているんです。
線画を生かした作画は、動きと感情がダイレクトに伝わる力強さを持っており、特にかぐや姫が走り出すシーンなどでは、その表現力が遺憾なく発揮されています。
宇多丸さんは映画評論において、作品の技術的側面と芸術性を常に重視していますから、この革新的な映像スタイルを高く評価したと考えられますね。
「月の世界」と「人間世界」の対比構造
宇多丸さんの評論で特に注目されるのが、「月の世界」と「人間世界」の価値観の非対称性についての読み解きです。
月の世界は、苦しみや悲しみがない完璧で静謐な世界として描かれています。
一方、地上の人間世界は、欲望や嘘、暴力といった醜さもあれば、笑いや喜び、温かさといった美しさも混在する世界です。
宇多丸さんは、他作品の評論でも「完璧で苦しみのない世界」への懐疑を示すことがあり、この作品でも同様の視点から分析していると推測されます。
かぐや姫が最終的に月へ帰らなければならないという結末は、単なる別れの悲しみではなく、「完璧だが感情のない世界」と「不完全だが生きている実感がある世界」のどちらに価値があるのかという問いを投げかけています。
「生きること」の意味を問う深いテーマ性
作品の核心にあるのは、「生きることの意味」という普遍的なテーマです。
かぐや姫は、山里での自由な暮らしから、都での窮屈な貴族生活へと移されます。
女官の相模から「理想的な貴族女性」として振る舞うよう厳しく躾けられ、自然の中での自由な暮らしとの落差に苦しむ姿が丁寧に描かれているんです。
五人の公達の求婚を、伝説級の宝物を条件に出すことでかわしますが、男たちは贋物や嘘で切り抜けようとし、中には事故死する者まで現れます。
都の価値観と欲望に嫌悪したかぐや姫が、故郷の山へ走り出すシーンは、作品の中でも最も感情が爆発する場面として知られていますね。
宇多丸さんは、このような「本当に求めている幸せとは何か」を問い続ける構造を、作品の最大の魅力として評価したと考えられます。
高畑勲作品らしい日常描写の丁寧さ
宇多丸さんが高畑勲作品のファンであることも、激賞の理由に関係しています。
高畑作品の特徴である、日常の細部(季節感、暮らし、食事、子どもの遊び)の丁寧な描写が、この作品でも徹底されています。
山里でのかぐや姫の成長過程、子どもたちとの遊び、四季の移ろい、食事の準備といった場面が、リアリティと温かさを持って描かれているんです。
そのうえで、終盤のファンタジックな「迎え」の場面が強烈なコントラストをなし、物語に深みを与えています。
こうした構成の巧みさも、映画評論家としての宇多丸さんが注目したポイントだったと推測できますね。
「かぐや姫の物語」の基本情報と魅力
作品の概要とキャスト
「かぐや姫の物語」は、2013年11月23日に公開されたスタジオジブリの長編アニメーション映画です。
原作は日本最古の物語とされる「竹取物語」で、監督・原案・脚本を高畑勲さんが担当しました。
共同脚本は坂口理子さん、音楽は久石譲さん、主題歌は二階堂和美さんによる「いのちの記憶」です。
主なキャストは以下の通りです。
- かぐや姫(少女期):朝倉あき
- 翁:地井武男
- 媼:宮本信子
- 捨丸:高良健吾
- 相模:高畑淳子
- 斎部秋田:立川志の輔
- 炭焼きの老人:仲代達矢
翁役の地井武男さんは、この作品が遺作となりました。
あらすじと物語の流れ
竹から見つかった小さな姫が、異常な速さで成長していくところから物語は始まります。
山里で子どもたちと自由に遊び回る日々を送っていたかぐや姫ですが、翁が光る竹から大量の小判や豪華な衣を授かったことで、運命が大きく変わります。
翁は「高貴な姫君」に育てるべく都に屋敷を構え、姫は「なよたけのかぐや姫」と命名されるんです。
都では女官・相模の厳しい躾を受け、「理想的な貴族女性」として振る舞うことを求められますが、自然の中での自由な暮らしとの落差に苦しみます。
五人の公達の求婚を、伝説級の宝物を持ってくるよう求めることでかわしますが、男たちは贋物や嘘で対応しようとし、悲劇まで生まれてしまいます。
都の価値観と欲望に嫌悪したかぐや姫は、故郷の山へ走り出すなど、本当に求めている幸せとは何かを探し続けるんですね。
やがて月からの迎えが来て、翁・媼や人々と別れ、月へ帰るクライマックスでは、この世の喜びと苦しみをすべて含めた「生きること」の意味が強く問われます。
革新的な映像表現
この作品の最大の特徴は、全編を通した絵巻物・絵本のような手描き風タッチです。
日本の伝統的な絵画表現をアニメーションに昇華したこの手法は、国内外で高く評価されています。
線画を生かした、動きと感情がダイレクトに伝わる作画は、日本のアニメーション技法の一つの極致とされているんです。
特に感情が高ぶる場面では、線が荒々しくなったり、色彩が変化したりと、内面の動きが視覚的に表現される工夫が随所に見られます。
公開当時から、日本アニメーションの表現として高い芸術性と実験性を備えた作品として、多くの批評家から評価されました。
テレビ放送でも繰り返し編成されており、一般向けにも広く認知されるジブリ作品の一つになっていますね。
視聴者やファンの反応
「高畑作品好きとしてうれしい評論」という声
宇多丸さんのラジオ評論を聞いたリスナーからは、「高畑作品好きとしてうれしい評論だった」という感想が寄せられています。
高畑勲監督の作品は、娯楽性よりも芸術性や社会性が前面に出ることが多く、一般的な評価が分かれることもあるんです。
しかし宇多丸さんのように、作品の深いテーマ性や表現技法を丁寧に掘り下げる評論によって、作品の魅力が改めて理解されたというファンが多くいました。
YouTube等にアップロードされた評論動画には、「宇多丸師匠の解説で作品の見方が変わった」といったコメントも見られますね。
「月の世界」の解釈に関する議論
作品を観た多くの人が、「月の世界」の意味について考察しています。
あるブロガーは、宇多丸さんの別作品評に出てくる「この世界ってのは、お前らが思っているような、話が通じるような世界じゃない」という視点が、「かぐや姫の物語」の月サイドの非人間的な論理にも通じると指摘しているんです。
月の使者たちは、かぐや姫の意志や感情を完全に無視して、淡々と迎えに来ます。
この「完璧だが冷たい世界」と「不完全だが温かい世界」の対比が、多くの観客の心に残り、様々な解釈を生んでいますね。
別のブログでは、「神だけの世界が『かぐや姫の物語』でいう月だとするなら、悪魔もいる世界が人間世界」という比喩が引用されており、宇多丸さんの他作品評を踏まえた深い読み解きが共有されています。
SNSでの反響と評価
SNSでは、「かぐや姫の物語」について様々な意見が交わされています。
「最後のシーンで涙が止まらなかった」「月へ帰るときの音楽が切なすぎる」といった感情的な反応が多く見られる一方で、「テーマが重すぎて子どもには難しいかも」という意見もあるんです。
また、「宇多丸さんの評論を聞いてから観たら、全然違う作品に見えた」「隠されたテーマに気づいて、もう一度観たくなった」という声も目立ちます。
ファンの間では、「この作品は一度観ただけでは理解しきれない深さがある」という認識が共有されており、繰り返し鑑賞する人が多いようですね。
特に大人になってから観ると、子どもの頃とは全く違う感想を持つという声も多く、年齢や経験によって受け取り方が変わる作品として評価されています。
まとめ:宇多丸さんが見出した「かぐや姫の物語」の価値
ライムスター宇多丸さんは、「かぐや姫の物語」を激賞し、その隠されたテーマを掘り下げて評価しました。
高畑勲監督の表現的挑戦、特に手描き風の革新的な映像表現を高く評価しつつ、「月の世界」と「人間世界」という対照的な価値観の描き方に注目したんです。
完璧だが感情のない世界と、不完全だが生きている実感がある世界、どちらに真の価値があるのかという問いかけが、この作品の核心にあります。
宇多丸さんの評論は、高畑作品のファンはもちろん、作品を理解したいと思う多くの視聴者にとって、新たな視点を提供するものでした。
「かぐや姫の物語」は、単なるおとぎ話の映画化ではなく、生きることの意味を深く問いかける哲学的な作品として、今も多くの人々に語り継がれています。
宇多丸さんの激賞は、この作品が持つ多層的な魅力を的確に言語化したものだったと言えるでしょう。
この作品をもう一度観てみませんか
宇多丸さんの評論を知った今、「かぐや姫の物語」をもう一度観てみると、新しい発見があるかもしれませんね。
初めて観る方も、以前観た方も、「月の世界」と「人間世界」の対比、かぐや姫の感情の動き、そして「生きることの意味」というテーマに注目しながら鑑賞してみてください。
高畑勲監督が最後に私たちに問いかけた、大切なメッセージが見えてくるはずです。
この作品は、観るたびに違う感想を持てる、何度でも鑑賞したくなる深い魅力を持っています。
ぜひ、あなた自身の目で、心で、「かぐや姫の物語」が伝えようとしているものを感じ取ってみてくださいね。