
スタジオジブリが制作した「かぐや姫の物語」は、日本最古の物語文学『竹取物語』を原作にした感動作ですよね。
この作品を見てみたい、あるいは見たけれど内容をもっと深く知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
高畑勲監督が8年の歳月をかけて制作したこの映画は、単なる昔話の映像化ではなく、「なぜ姫は地上に来て、なぜ帰らねばならなかったのか」という根源的な問いに向き合った作品です。
この記事では、かぐや姫の物語の本編について、あらすじから結末、そして作品に込められたテーマまで詳しく解説していきます。
かぐや姫の物語 本編の結論

「かぐや姫の物語」本編は、月から地上に降ろされた姫が、山里での自由な暮らしから都での窮屈な姫君生活を経て、再び月へ帰っていくまでの物語です。
2013年に公開されたこの作品は、竹から生まれた小さな姫が驚異的な速さで成長し、都で高貴な姫として育てられながらも、五人の求婚者を退け、最終的には月からの迎えによって地上を去るという展開を描いています。
キャッチコピーは「姫の犯した罪と罰。」であり、地球での暮らしを楽しみ「生きる喜び」を味わったことが月の世界では「罪」とされ、その贖いとして月へ帰らねばならないという「罰」が科されるという解釈が示されています。
かぐや姫の物語 本編が描く物語の流れ

竹から生まれた姫の発見と驚異的な成長
物語は山里で竹を取って暮らす翁と媼の夫婦から始まります。
ある日、翁が光り輝く竹の中から手のひらサイズの小さな姫を見つけ、家に連れ帰ります。
この姫はその日のうちに人間の赤子ほどに成長し、さらに驚異的な速さで成長していくのです。
姫は近所の子どもたち、特に捨丸という少年たちと野山を駆け回り、自然の中で自由に遊ぶ少女時代を過ごします。
この素朴で豊かな暮らしの記憶が、後半の都での窮屈な生活との対照となり、物語の重要な軸となっていきます。
都への移住と姫君としての教育
再び光る竹から大量の小判と豪華な衣装が出てきたことで、翁は「姫は高貴な身分にあるべき」と確信します。
翁は姫を都へ連れて行き、立派な屋敷を構えることを決意するのです。
都で姫は女房・相模から、和歌・琴・礼儀作法など「高貴の姫君」に必要な教養と作法を厳しく仕込まれます。
斎部秋田がその美しさに打たれ、姫に「なよたけのかぐや姫」という名を授けます。
成人の儀式である裳着と盛大な披露の宴が開かれますが、御簾の内側で「飾られた存在」にすぎない自分、客たちの欲と侮辱的な言葉に、姫は深い疎外感と怒りを覚えるのです。
故郷への逃避と失われた居場所
宴の最中、都の生活と男たちの欲望に耐えきれなくなった姫は、御簾を抜け出し、故郷の山へ駆け戻ります。
しかしそこには、かつて一緒に遊んだ少年・捨丸たちの姿はもうありませんでした。
炭焼きの老人から彼らがこの地を去ったと聞かされた姫は、帰る場所もなくなったと絶望します。
翌日からは翁の望む「完璧な姫君」として振る舞う決意を固め、お歯黒と引眉(歯を黒く塗り、眉を抜く)という貴族女性のしきたりも受け入れていきます。
五人の求婚者と伝説の宝物
かぐや姫の噂を聞きつけた多くの男たちが求婚に押し寄せ、その中から五人の公達が選ばれます。
五人とは以下の貴族たちです。
- 車持皇子
- 石作皇子
- 阿部右大臣
- 大伴大納言
- 石上中納言
姫は五人それぞれに、実在しないような伝説的宝物を結婚の条件として提示します。
男たちは偽物や作り話で姫を騙そうとしますが、多くの財を投じて手に入れた宝が贋物と判明して逆上する者、巧妙な嘘や甘言が暴かれる者など、いずれも誠実さを欠いており、姫の心を得ることはできません。
特に石上中納言は宝を得ようとした旅の末に事故死してしまい、その死を知った姫は、条件を出した自らを激しく責め、深い罪悪感と悲嘆に沈みます。
御門(帝)の強引な求愛
五人の公達を翻弄したと聞いた御門(帝)は、かぐや姫に強い興味を抱きます。
御門は出仕と翁への官位授与を命じますが、姫が官命を拒んだため、密かに翁の屋敷を訪れます。
そして姫を抱きすくめて宮中へ連れ去ろうとするのです。
姫は強い拒絶を示し、その瞬間、思わず「月に助けを求める」ような心の叫びを上げてしまいます。
これが後の展開への決定的な引き金となるのです。
月から来た存在としての告白
その後、姫は翁と媼に、自分が月から地上に降ろされた存在だと打ち明けます。
地球での暮らしを楽しみ、「生きる喜び」を味わったことこそが、月の世界の価値観からすると「罪」であり、その贖いとして月へ帰らねばならない「罰」が科されているというのです。
月からの迎えが来ることが決まると、翁は多くの兵を集めて屋敷を固め、姫を守ろうとします。
しかし月から降り立つ天人たちは、兵たちを眠らせ、静かに姫を迎えに来るのです。
別れと月への帰還
天人が差し出す羽衣には、月の世界の安寧と引き換えに「地上での記憶や感情を失わせる」力があるとされています。
かぐや姫は、翁と媼に抱きつき、涙ながらに別れを告げ、最後に地上の暮らしへの愛着と感謝を伝えます。
姫は羽衣をまとい、月の王をはじめとする天人に導かれ、月へ帰っていきます。
翁と媼は深い悲しみの中に取り残されて、物語は幕を閉じるのです。
かぐや姫の物語 本編に込められたテーマ
「罪と罰」の真の意味
本作のキャッチコピーである「姫の犯した罪と罰。」は、作品理解の鍵となります。
この作品における「罪」とは、地上で生きる喜びを感じたことそのものです。
月の世界では感情や欲望がなく、完璧な秩序と平穏が保たれているとされています。
しかし地上に降ろされた姫は、自然の中で駆け回る楽しさ、人と触れ合う温かさ、怒りや悲しみといった様々な感情を知ってしまいました。
そして「罰」とは、その記憶と感情を奪われて月へ帰らねばならないことなのです。
女性の生と自由への問いかけ
かぐや姫の物語は、平安時代の女性が置かれた立場を通して、普遍的な「女性の生」を描いています。
山里での自由な暮らしから、都での「高貴な姫君」としての窮屈な生活への変化は、社会が女性に押し付ける役割の象徴と言えるでしょう。
お歯黒や引眉といった美の基準、御簾の内側に閉じ込められる生活、男性たちの欲望の対象としてのみ見られる存在。
これらは時代を超えて、女性が直面してきた抑圧を表現していると解釈できます。
生きることの輝きと儚さ
高畑勲監督は本作を通して、「命の輝き」と「生きる喜び」を描きたかったとされています。
姫が山里で子どもたちと遊ぶシーン、花を見て微笑むシーン、怒りに震えるシーン。
こうした一つ一つの感情の動きこそが、生きているということの証なのです。
月へ帰ることは死の比喩とも解釈でき、地上での記憶を失うことは、その人生が無かったことになるに等しいと言えます。
だからこそ、最後の別れのシーンは深い悲しみに満ちているのです。
かぐや姫の物語 本編の表現技法と評価
絵巻物のような独特の映像表現
本作の最大の特徴の一つが、その独特の映像表現です。
淡い線描と水彩風の色彩で構成された映像は、まるで日本の古い絵巻物が動き出したかのような印象を与えます。
特に姫が故郷へ逃げ帰るシーンでは、ラフな線のまま激しく動く表現が用いられ、姫の感情の激しさを視覚的に表現しています。
このアニメーション技法は、8年という長い制作期間をかけて作り上げられたもので、スタジオジブリの新たな表現の可能性を示しました。
声優陣の繊細な演技
本作では主に俳優が声優を務めており、特にかぐや姫役の朝倉あきの演技が高く評価されています。
少女から成人女性へと成長していく姫の声を、繊細に演じ分けています。
また翁役の地井武男(本作が遺作となりました)、媼役の宮本信子の温かみのある演技も、作品に深みを与えています。
捨丸役の高良健吾、相模役の高畑淳子、御門役の中村七之助など、豪華キャストによる演技も見どころの一つです。
久石譲の音楽と主題歌
音楽を担当したのは、ジブリ作品でおなじみの久石譲です。
琴や笛などの和楽器を効果的に使用した音楽は、物語の世界観を見事に表現しています。
主題歌「いのちの記憶」を歌う二階堂和美の透明感のある歌声は、姫の儚さと生命の輝きを同時に感じさせる名曲として記憶に残ります。
国内外での高い評価
「かぐや姫の物語」は2013年の公開後、国内外で高い評価を受けました。
アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされるなど、世界的にもその芸術性が認められています。
高畑勲監督の遺作アニメーションとしても位置づけられており、監督が生涯をかけて追求してきた表現の集大成とも言える作品です。
かぐや姫の物語 本編を視聴する方法
地上波での放送実績
「かぐや姫の物語」は定期的に地上波でも放送されています。
直近では、日本テレビ「金曜ロードショー」で2025年1月9日21時から本編ノーカットで地上波放送されました。
公開から10年以上経った現在も、作品のテーマや映像表現が再評価され続けており、放送のたびに多くの視聴者が作品に触れる機会となっています。
配信サービスでの視聴
各種動画配信サービスでも視聴可能な場合があります。
ただし配信状況は時期によって変わるため、お手持ちのサービスで検索してみることをおすすめします。
本作は137分という長編作品ですが、その時間を感じさせない密度の濃い物語展開が魅力です。
Blu-ray・DVDでの視聴
何度も繰り返し観たい方には、Blu-rayやDVDの購入もおすすめです。
特典映像なども収録されており、作品への理解をさらに深めることができます。
高画質で細部まで描き込まれた映像美を堪能できるのも、パッケージ版の魅力と言えるでしょう。
SNSでの反応と視聴者の声
感動の声と深い考察
SNSでは本作を視聴した多くの人が、その深いテーマ性に感動したという声を上げています。
「何度観ても泣いてしまう」「姫の気持ちを思うと切ない」といった感情的な反応から、「罪と罰の意味を考えさせられる」「女性の生き方について考えた」といった考察まで、様々な反応が見られます。
特に最後の別れのシーンについては、「翁と媼の悲しみが痛いほど伝わってくる」「羽衣を着て記憶を失う前の姫の表情が忘れられない」といった声が多く寄せられています。
映像表現への驚きと称賛
独特の映像表現に驚いたという声も多数見られます。
「まるで絵巻物が動いているようで美しい」「線が荒いのに表情がこんなに豊かに描けるなんて」といった、技術的な面への称賛が寄せられています。
特に姫が都から逃げ出すシーンの激しい動きについては、「あのシーンの迫力がすごい」「感情の爆発が視覚的に伝わってくる」といった評価が多く見られます。
原作との比較と解釈の広がり
原作の『竹取物語』を知っている視聴者からは、「原作にはない解釈が加えられていて新鮮」「なぜ姫が月に帰らなければならなかったのか、理由が描かれているのが良い」といった声があります。
また「捨丸との関係性が切ない」「五人の求婚者のエピソードがそれぞれ印象的」といった、本作ならではの描写についての感想も多く見られます。
ファンの間では、「姫が本当に幸せだったのはいつか」「月へ帰ることは本当に罰だったのか」といった議論も交わされており、作品の解釈の奥深さが伺えます。
まとめ:かぐや姫の物語 本編が伝えること
「かぐや姫の物語」本編は、月から地上に降ろされた姫が、山里での自由な暮らしから都での窮屈な姫君生活を経て、再び月へ帰っていくまでの物語です。
竹から生まれた小さな姫が驚異的な速さで成長し、自然の中で自由に遊ぶ少女時代を過ごした後、都で高貴な姫として育てられながらも、五人の求婚者を退け、最終的には月からの迎えによって地上を去るという展開が描かれています。
キャッチコピー「姫の犯した罪と罰。」が示すように、地球での暮らしを楽しみ「生きる喜び」を味わったことが月の世界では「罪」とされ、その贖いとして月へ帰らねばならないという「罰」が科されるという解釈が本作の核心です。
高畑勲監督が8年の歳月をかけて制作したこの作品は、絵巻物のような独特の映像表現、久石譲の音楽、豪華声優陣の演技によって、命の輝きと生きることの喜びと儚さを見事に表現しています。
2013年の公開から10年以上経った現在も、地上波での放送や配信を通じて多くの人々に感動を与え続けている名作です。
「かぐや姫の物語」は一度観ただけでは理解しきれない深い作品です。
初めて観る方は、まず物語の流れと映像の美しさを楽しんでください。
そして二度目、三度目と観るたびに、新たな発見や感動があることでしょう。
姫が山里で見せた笑顔、都で流した涙、そして最後の別れの表情。
それぞれのシーンに込められた意味を、あなた自身の感性で受け止めてみてください。
この作品が問いかける「生きるとは何か」「幸せとは何か」という普遍的なテーマは、きっとあなたの心に深く響くはずです。
ぜひ時間を作って、この美しく切ない物語をじっくりと味わってみてくださいね。