火葬が済んだら、なれないお箸で故人の骨を骨壷に納めていきます。骨は、近親者ならほぼ全員なんらかの骨を骨壷におさめます。やったことのある人ならわかりますが、骨上げに使うお箸がなんとも使いづらく苦戦する人もいます。
使いづらいこのお箸と思っても、実は骨上げは立派な葬儀の一部です。葬儀の締めといっても過言ではないくらい重要です。今回は、骨上げについて解説していきます。
骨上げとは何か?
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骨上げとは、長さや素材の違う箸で骨を拾い、骨壷に収めることです。骨上げは、30分もかからないうちに終わってしまうので、あっという間に終わってしまいあんまり印象に残らないことのほうが多いです。
なぜ長さが違う箸を使うのか
骨上げで一番驚かれるのは、なんといっても長さの違うそして素材も違うお箸を使います。1つは竹、もう1つは木でできたお箸を使います。
なぜこんなにとりにくいお箸を使うのでしょうか。同じ長さのお箸のほうが不器用な人にとっては失敗もないし、骨を落としてしまったらと余計な心配もありません。
素材も柄も長さも違うお箸を使う理由は2つあります。
- この世とあの世の橋渡し
- 葬儀のときには、この世とは正反対の世界逆さごととして捉える
箸にかけて橋渡し、そして葬儀は日常とは正反対世界としてとらえられているところからあの持ちにくいお箸を使います。
骨上げの習慣は日本独自であり海外では見かけません。
納骨との違い
骨上げと聞くと、中には納骨と思い込んでる人もいます。骨を収めるんだからまとめて納骨というのではないかと思われがちですが、納骨と骨上げは違います。
納骨は、火葬された遺骨を骨壷に納め、お墓や納骨堂に安置することをいいます。
確かに火葬された遺骨を骨壷に収めるところまでは同じですが、さらに収める場所も決まっているので、骨上げのときに納骨と言ってしまうとあとあと顔が真っ赤になるので注意してください。
地域の違い
骨上げは、関西と関東で違ってくるのをご存知でしょうか。違いを体験できるのは、関西に引っ越した、関東に引っ越したときぐらいです。
関西出身ですが、今まで全部部分的に骨を拾い上げると思いきや全然ちがったようです。では実際どのような違いがあるのでしょうか。
- 関東では、すべての骨を拾い上げる
- 関西では喉仏などの一部の骨を拾い上げる
関西では、一部の骨の説明を受けてから箸で拾い上げていたのが記憶に高いです。骨壷も小さく、すべての骨は明らかに入りきらないくらいの大きさで小柄でした。
一方関東では、すべての骨を拾い上げるため、骨壷が自然と大きくなります。
関西だとでは残った骨はどうなるのか粗末なことを思われるかもしれません。しかし、安心してください。火葬場で供養するので決して粗末なことにはならないようになっています。
なぜ喉仏の骨は近親者が収めるのか
遺骨は順番に喪主から拾い上げますが、最後喉仏になると喪主か故人との関係に近い人が再度拾い上げます。結構喉仏が重要な骨として見られていますが、なぜだと思いますか?
骨に重要も何もないと思うのですが、実は喉仏が重要な骨として見られるのは、仏様に見えるからだと考えられています(諸説あり)
ちなみに、葬儀で説明をうける喉仏と我々が普段から喉仏と言っている骨は全く別です。本当の喉仏は、軟骨なので火葬でやけてしまっています。
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骨上げの由来
骨上げの由来として、前提に火葬が行われている必要があります。火葬は飛鳥時代から行われており、明治に一旦火葬は廃止になるものの、すぐに火葬に戻っている流れをたどっています。
昔の火葬は技術が伴っておらず、火葬が終われば粉末になり、あまりされておりません。骨上げができるようになったのは、40年前くらいと言われています。
歴史的な儀式というよりかは、葬儀社が作り上げたといったほうが理解しやすいです。今の葬儀は大正時代あたりが原型といわれています。
骨上げはしなくてもいいのか
では、歴史的なことでもないのなら、別に骨上げはしなくてもいいのではないかと疑問に思う人も出てきます。故人を偲ぶといった意味では、骨上げも重要な式の一部となっています。
葬儀から骨上げを省略するなんて失礼な喪主と思われるかどうかも不安ですよね。しかし、心配は不要です。
骨上げをしない場合は親族と要相談
実は、骨上げをしないという選択も十分にありです。ですが、葬儀は自分たち家族だけでといった場合を除き、他の親戚にも相談が必要となってきます。
案外、トラブルが起きやすい場面でもあるので、慎重に行動したほうがいいでしょう。
骨上げ後に行う法要
骨上げが終わると法要が行われます。法要と聞くと初七日法要のことが頭に思い浮かぶのではないでしょうか。最近では、葬儀と同日に初七日法要をやるところが増えました。祖父の葬儀のときも別室に移動して初七日法要を行った記憶があります。
初七日法要ではありません。実は骨上げの後には地域によって還骨法要を行う場合があります。
還骨法要(かんこつほうよう)
還骨法要とは、骨上げが終わった後に骨を自宅に持ち帰り供養を行うことです。しかし、最近では家に戻ることなく葬儀会館の別室で初七日法要と同時に行われていることが多くなりました。
あんまり印象に残らないのですが、初七日法要のほうが重要な法要だからです。よくよく見ると同時に還骨法要も行われていることが多い印象を受けます。
地域によっては、安位諷経(あんいふぎん)や還骨勤行(かんこつごんぎょう)と呼ばれるところもあります。
まとめ
今回は、骨上げの意味と骨上げの法要のあとに行われる法要について解説してきました。
- 骨上げは地域によって骨全部を拾い上げる場合と一部分の骨しか拾い上げない場合もある
- 骨上げに使うお箸は、逆さごとの意味合いで使われ、1つは竹製のお箸、残り1つは木製のお箸で長さが違う
よくよく納骨と言われる人もいますが、納骨は骨上げで納めた骨壷を収める意味合いも含まれるので厳密に言うと違います。骨上げと納骨の意味合いを混同しないようにしましょう。
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